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八条学園騒動記

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第五百九十七話 毎日すべきことその十一

「あいつもか」
「戦艦の名前に使われているよ」
「そうなんだな」
「この名前の戦艦は沈められなかったそうだよ」
「沈めたらよかったのにな」
「あとビクトリア一世も」
 この名前の戦艦もというのだ。
「生き残ったそうだよ」
「ビクトリア一世か」
「あのイギリス女王ね」
「イギリスの最盛期の女王だったな」
「植民地の上に君臨したね」
「そうだったな」
 千年の間に何人かこの名前の女王が出ているので一世となっているのだ、エリザベス一世も二世が出るまではずっとエリザベス女王と呼ばれていた。
「あの女王の名前の戦艦もか」
「沈まなかったそうだよ」
「それは癪だな」
「エウロパ軍の艦艇は三割以上沈んだそうだけれど」
 死傷者は三割に及んだ。
「残った船も多かったんだ」
「三割以上だからな」
「六割以上は残ったからね」
「そうだな」
「残った方が多いよ」
「そうなるな」
 フックも頷いた。
「言うまでもないことだな」
「うん、それでね」
 菅はウイスキーを飲みつつさらに話した。
「エウロパでは連合軍の戦艦は沈まないってね」
「言われていたか」
「防御力が高くて」
 そしてダメージコントロールに秀でていてだ。
「それでね」
「それはいいことだな」
「特にティアマト級が」
 この戦艦がというのだ。
「一隻も沈められなくてね」
「それでか」
「そう言っていたらしいよ」
「成程な」
「あの戦艦は大きいしね」
 だから巨大戦艦と呼ばれている。
「要塞の主砲でも沈まなかったそうだよ」
「攻撃受けてもか」
「直撃をね」
 義勇軍、連合軍の先陣を常に務めるサハラの難民達から構成されるこの軍の艦艇でそうしたことがあったのだ。
「浴びてもね」
「沈まなかったか」
「流石にダメージは受けたらしいけれど」
 それでもというのだ。
「沈まなかったそうだから」
「それは凄いな」
「あの戦艦はね、それで向こうはやられっぱなしで」
「いい展開だな」
 連合から見てだ。
「それはまた」
「僕もそう思うよ」
「ああ、しかしこっちでコルテスなんてな」
「戦艦の名前にはしないね」
「極悪人だからな」
「悪人だったり嫌われている人はね」
 どうしてもというのだ。
「嫌われている人は功績があっても」
「戦艦とかの名前にはならないか」
「嫌な人の名前の船に乗りたくないよね」
「ああ、それはな」
「だから二十世紀のアメリカでも」
 この国でもというのだ。
「アーネスト=キングって名前の船はね」
「なかったか」
「最近はあるけれど」
 実は二十世紀でも駆逐艦で名前が使われてはいた。 
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