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兎少女

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第三章

「けれどあの身体能力だからな」
「あの神奈川でも有名な選手でしたか」
「そうだったんですね」
「あの運動神経なので」
「それで、ですか」
「そうだ、確かにあの娘は小さいけれどな」
 それでもというのだ。
「あれだけの素早さとジャンプ力だ」
「あんな小さくても」
「それでもですか」
「やっていけるんですね」
「ああ、そうだよ」
 その通りだというのだ、そしてあすかはこの学校のバスケ部でもすぐにレギュラーになって活躍した。そうして。
 花道が言う明るい性格もあってチームのムードメーカーにもなった、只明るいだけでなく気さくで公平でだった。
 誰からも好かれた、多少天然で無神経な発言もあったが基本的に善人で部活でもクラスでも人気者で。
 花道とも仲良くなった、そこで彼はクラスの中で彼女に言った。
「俺最初お前は本当にバスケの選手かってな」
「小さいからよね」
「自分でわかってるんだな」
「事実だからね」
 あすかは花道に笑って返した。
「私も否定しないわよ」
「そうなんだな」
「せめてあと十五センチは欲しかったけれど」
「一五七か」
「一四二は流石に小さいでしょ」
「それはな」
「だからね」 
 それでというのだ。
「あと十五センチはね」
「欲しかったんだな」
「けれどないものねだりしても仕方ないし」
 あすかは自分の席の前に彼の席の椅子を持って来てそこに座って話をしてきている花道に対して述べた。
「もうこれでね」
「いいんだな」
「ええ、それで小さい分はね」
 それはというと。
「練習してね」
「その運動神経とジャンプ力か」
「元々そっちはあったし」
 それでというのだ。
「練習して備えたから」
「それでやっていってるんだな」
「そう、だからいいのよ」
「そういうことか」
「小さい分はカバーしてさらにプラスしているつもりだから」
 それでというのだ。 
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