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兎少女

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第二章

「女子の名門校でレギュラーだったんだよな」
「それも一年から」
「それになれるか?」
「あの背でな」
「スポーツ間違えてないか?」
「他のスポーツじゃないのか」
「少なくともバスケにはな」
 どうしてもというのだ。
「思えないな」
「そうだよな」
「本当にな」
「あの娘だけはな」
「ああ、ぱっと見明るくていい娘だけれどな」
 花道は同じクラスの者として述べた。
「けれどな」
「やっぱり小さいとな」
「バスケはな不利だからな」
「冗談抜きにあそこまで小さいと無理だろ」
「神奈川で有名な選手とか嘘だろ」
「俺もそう思うな」
「おい、そろそろ行くぞ」
 ここで三年の先輩の一人が言ってきた、花道達は二年生なのだ。
「準備体操して走ってな」
「それからですね」
「練習ですね」
「そうしますね」
「ああ、いいな」
 三年の先輩はこう言て花道達に早く着替えて練習に出る様に促してそうしてだった。自分も出た。そして花道達もだった。
 部活に出た、するとそこに学校のジャージを着たあすかもいたが。
 その準備体操もっと言えばストレッチの様子を見て花道達は言った。
「身体柔らかいな」
「そうだよな」
「ぐにゃぐにゃ曲がってるな」
「身体は柔らかいんだな」
「やっぱりスポーツしていると身体は柔らかくないとな」
 さもないと、というのだ。
「よくないからな」
「そのことは合格だな」
「そうだよな」
「とりあえずはな」
「そのことはいいな」
 そのストレッチをするあすかを見て話す、だが。
 やはりその小柄さが気になって言うのだった。
「けれどあの小ささだと」
「バスケだからな」
「どうしても問題だろ」
「あんな小さくて出来るのかよ」
「レギュラー無理だろ」
「ましてやあの神奈川で有名な選手とかな」
「何かの間違いじゃないのか?」
 ここでもどうかという顔になって言った、そしてだった。
 ストレッチの後でランニングとサーキットトレーニングに入ったが。
 あすかは早く動きも俊敏で体力もあった、この部の練習はランニングもサーキットもそつなくどころか女子の中で一番こなし。
 肝心のバスケの練習でもだった。
「素早いな」
「ドリブルも上手だしな」
「足は速いしフットワークも凄いしな」
「左右にひらひら動くな」
「それにな」
 皆そのあすかの動きを見て思わず息を飲んだ。
「ジャンプ力凄いな」
「上にも前にも凄い跳ぶな」
「あんなに跳ぶ娘はじめて見たぜ」
「冗談抜きで兎だな」
「兎みたいに跳ぶな」
「そうだ、あの娘は確かに小さいけれどな」
 顧問の堀江大輔先生も言ってきた、細面で髪の毛を短くして眼鏡をかけた中年男だ。背は一七五程である。 
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