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星河の覇皇

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第七十六部第三章 エウロパから見た死闘その四十

「楽しむものだよ」
「そういうものですね」
「だからね」
「今の旦那様の飲み方がよく」
「我が領地のワインもね」
「悪くはない」
「無論他のワインもまずくはないよ」
 ヒルデルセン星系のワイン達もだ。
「ヒルデルセン伯爵のご領地のワインはね」
「確かにですね」
「美味しいしね、しかし我が領地のワインはね」
「かろうじてではなくですね」
「及第ぎりぎりではないよ」
 こう言い切ったのだった。
「相当にだよ」
「美味しいですね」
「私が言うから間違いないよ」
 飲んでいる自分がというのだ。
「自分の領地だという贔屓は抜きでね」
「左様ですね」
「発泡性でね」
「その発泡性がですね」
「またいいよ」
 自分好みだというのだ。
「特にね」
「甘みが強くですね」
「イタリアのランブルスコの様にね」
「元々はあのワインを元にしてですね」
「造られているしね」
 それがランズハイム星系のワインだ、勿論普通のワインもあるがこの星系のワインはそうしたワインが有名なのだ。
「イタリアのね」
「二十世紀のテノール歌手パヴァロッティが好きだったという」
「彼の故郷だったね」
「はい、ランブルスコは」
 執事も答えた。
「彼の出身地モデナがありました」
「そうだったね」
「そしてそのワインをですね」
「我が始祖が愛していてね」
「造らせたのがはじまりでしたね」
「星系の業者にね」
「そうでしたね」 
 執事も頷いて応えた。
「それがはじまりでした」
「そうだったよ、そしてね」
「そのワインがですね」
「こうして飲めることがね」
「ドイツにおいても」
 輸入ではなく国内の産としてだ。
「それがいいですね」
「そうなんだがね」
「発泡性のワインは特に飲むだけですと」
「そう、飲みにくいものがあるね」
「そうですね」
「炭酸飲料とは違うよ」
 エウロパにもこの飲みものはある、とはいっても平民がよく飲むものとされ貴族達はあまり飲まない。彼等は高級ジュースを飲むものとされているのだ。
「またね」
「発泡性のワインは」
「シャンパン等もね、シャンパンはね」
「はい、どうしましても」
「そのまま飲むにはね」
「何かが違いますね」
「普通のワイン以上にだよ」
 それこそというのだ。
「食べつつ飲むことがね」
「いいですね」
「私だけかも知れないがね」
 そう思うのはというのだ。
「しかしね」
「実際に発泡性のワインは」
「何かを食べつつがいいんだよ」
 そうしながら飲むことがというのだ。
「どうしてもね」
「それで飲むだけというのだ」
「やっぱり違うよ」
 ワインのお代わりを受けつつの言葉だ、召し抱えている代々のソムリエがそうしてくれるのを礼を言って受ける。 
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