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星河の覇皇

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第七十六部第三章 エウロパから見た死闘その三十七

「興しそうして」
「もう一度我々は」
「人類の中心になるべきです」
「連合ではなく」
 まさにとだ、二人で話したのだった。そしてだった。
 ランズハイムもヒルデルセンもメインディッシュを食べ終えた、そうして最後のデザートとなったがそれはケーキだった。
 見事な苺のケーキを見てだ、ヒルデルセンは思わず笑みを浮かべてこう言った。
「実は私はです」
「ケーキがお好きですか」
「はい、特にこのケーキが好きでして」
 苺のケーキ、それがというのだ。
「ですから」
「この度はですか」
「非常に嬉しいです」
 こう思っているというのだ。
「まことに」
「左様ですか、実は私もです」
 ランズハイムも言ってきた。
「ケーキが好きで」
「そうなのですか」
「苺のケーキもです」
 今二人の前にあるそれもというのだ。
「好きでして」
「それで、ですか」
「今も楽しみにしています」
 そうだというのだ。
「これから食べるのを」
「そうですか、では」
「共に召し上がりましょう」
「是非」 
 二人でこう話してだった、そのうえで。
 二人で実際に苺のケーキも食べた、それを食べ終えてだった。
 ランズハイムは自身のオリンポスでの屋敷に戻った。そうして屋敷でも出来る仕事をしてそうしてだった。
 己の執事にだ、夕食の時にこんなことを言った。
「今宵のワインだが」
「はい、領地の産ですが」
 傍らに立つ執事はすぐに答えた。
「如何でしょうか」
「赤も白もいい」
 ランズハイムは執事に微笑んで述べた。
「昨年よりもいい味になっている」
「左様ですか」
「うん、いい感じだよ」
「左様ですか、しかしです」
「評論家に言わせるとかな」
「ランズハイム星系のワインの味は及第点ですが」
 しかしという口調での言葉であった。
「それ以上ではないとのことです」
「辛辣だね」
「評論家らしいでしょうか」
「評論家は大抵好き勝手言うね」
「好き勝手言うのがまさにです」
「仕事だね」
「はい、ある批評家が言うには」
 執事は主にさらに話した。
「ドイツではボーデン星系の産がです」
「ボーデン侯爵の」
「そちらのワインがです」
「一番というんだね」
「白ならば」
「では赤は」
「ヒルデルセン星系とのことです」
 こちらだというのだった。
「丁度です」
「うん、私が今日お話をしたね」
「あの方のご領地ですね」
「そうだね、赤はだね」
「はい、ヒルデルセン星系のものだとのことです」
 こう話すのだった。
「何でも」
「そうなんだね」
「我が星系の産は甘過ぎるとのことです」
「甘い、結構なことだよ」
 ランズハイムは自分のワインの好みからこう言った。 
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