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おぢばにおかえり

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第六十一話 食べてもらってその十六

「それで徹底的に残酷になって」
「先輩もっていうのね」
「やり過ぎるんだと思いますけれど」
「そのやり過ぎが許せないっていうのね」
「僕そんなことされたら一生怨みますよ」
「先輩でも?」
「そうなります」
 こう私に言いました。
「忘れられないですよ、そもそも礼拝堂とか高校の正門で言うとか」
「神様を忘れているし」
「それじゃあもう十字軍と変わらないですよ」
「十字軍って」
 世界史の授業で習いました、もう何と言えばいいか。
「先輩人殺したりしないわよ」
「けれど人の心は徹底的に傷付けますから」
「一緒だっていうのね」
「正直僕あの人嫌いですから」
 長池先輩についてこうまで言いました。
「物凄く残酷で陰湿な人ですね」
「陰湿って」 
 流石にその言葉にはかなり引きました。
「先輩がそんな人って」
「僕がそう思うだけですけれどね」
「はっきりして明るい方よ」
 陰湿さとは無縁です。
「本当に」
「そうでしょうかね、人間色々な一面がありますから」
「だから先輩はっていうの」
「はい、陰湿で残酷です。ただ」
 阿波野君はこうも言いました。
「僕もですけれど」
「よくそう言うわね」
「かなり卑劣で残忍で陰湿で執念深いですから」
 自分で言うのでした。
「自覚しています」
「先輩以上にそうは見えないけれど」
 ただ嫌いな相手は徹底的に嫌うことはわかってきています、しかもそれが表情に思いきり出ています。 
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