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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Saga19-B本局襲撃~6th wave~

†††Sideヴィータ†††

“T.C.”の幹部、フォードってぇのがあたし達の待つ第3トレーニングルームに転送されてきた。長いポール状の武器――杖を手に、「俺たちの移動時と変わらないじゃないか」なんて言って肩を竦めた。なんの話か判らねぇけど、「行くぜ!」あたしはユニゾン中のリイン、それに特騎隊のセレスとミヤビに告げた。

「うん!」「はい!」『はいです!』

“アイゼン”の神秘カートリッジをロード。物質弾を目の前に8発と展開。

「ミヤビ、先行お願い!」

――穿ち止める氷杭(エスタカ・クエルソ)――

セレスは自身の周りに氷の槍を12本と展開。

「了解です!」

トレーニングルームをぐるりと見回して、「まぁこんだけ広ければやれんだろ」とか言ってバッと左腕を振るって何かを蒔いてるフォード。そんなアイツに向かって突撃するミヤビは水や氷を操れる水鬼形態だ。アイツはミヤビの接近に対して何ら気負うことなく、「そう慌てるなよ」って杖で床を突いた。

――ナシオン・デ・ラ・プラデラ――

「なんだ!?」『わわっ!?』

蒔かれてた何かから太い蔓やら蔦やらがブワッと溢れ出して、床を覆うつもりか四方八方に這い出した。セレスが「早速フィールド構築ね。作戦開始!」って声を上げたから、あたしとセレスは飛行魔法で宙に上がって、ミヤビは急停止してから冷気を解除。

「始めます!」

――水征戦域――

「ヴィータはアイツを狙って!」

「おう!」

ミヤビが生み出すのは多量の水で、トレーニングルームがすげぇ勢いでプール化されてく。そんな中で、フォードは蛇が首をもたげたように動く蔓の先端に立って水から逃れた。

「水流系? 人間だと神器王か蒼雪姫しか扱えない属性のはずだが・・・。いや、あの角は・・・なるほど」

「シュワルベフリーゲン・クレイモア!」

ぶつぶつと呟いてる所為でなに言ってるか判んねぇけど、あたしはフォードに向けてまずは4発だけ発射した。ほぼ同時にセレスも氷槍を床に向けて発射。

「そう決着を焦るなよ。もっとのんびり行こうぜ?」

――レプロチェ――

フォードを護るために蔓が蠢いて壁となって、あたしの攻撃を防御した。が、甘いな。シュワルベフリーゲン・クレイモアは、爆風と熱波、爆散した物質弾の破片によるダメージを与える炸裂弾だ。普段は対人じゃ使わねぇけど相手は魔術師で、ルシル達ですら苦戦するようなヤバい奴らだ、手加減はしねぇ。
そんなあたしの一撃で壁になってた蔓に大穴が開いて、奴の姿を再確認できた。残りの4発を打つ前に、床に突き刺さった氷槍がミヤビの張った水のフィールドを瞬時に凍結させてく。水浸しになっちまってた蔦や蔓も一緒に凍結されて、脚が濡れてるフォードは「だから嫌なんだよ、氷雪系と水流系の使い手は!」ってキレながら飛び上がって、壁に向かってまた何かを蒔いた。

「させっかよ!」

「一気に決めます!」

――水瀧拳殴――

空中に居るフォードへ突っ込むミヤビ。アイツが最初に生み出した植物は今も凍ったまんまだし、壁に蒔いた何か(間違いなく植物の種)が成長する前に「いけっ!」残る4発の物質弾を打ち放った。壁に着弾するまでの間にミヤビはアイツに最接近して、水を纏わり付かせた右拳で殴り掛かった。アイツは武器を振り回して迎撃したんだが、ミヤビは武器を殴らねぇでガシッと掴み取った。

「むおっ?」

「先輩! ヴィータ教導官!」

「いつでも!」「よっしゃ!」

「貴様! 放しやがれ!」

壁に着弾した物質弾が壁面にくっ付いてる種を焼き払ったのを確認したあたし、そしてセレスは、ミヤビの頭上でぶんぶん振り回されてるフォードへ突っ込む。あたしは“アイゼン”の柄をギュッと握り直して振りかぶって、セレスも冷気を纏う大剣“シュリュッセル”を上段に振り上げた。

「ああもう面倒くせぇ! 時間稼ぎなんてやってられっか!」

ミヤビの握る武器から手を離したフォードが吹っ飛んだ。武器は手放したが、アイツは植物の武器を生み出せることはもう知ってる。実際アイツはジャケットの懐から何かを取り出す仕草をした。

『時間稼ぎって話だし、時間は掛けてられない! フォードに魔術を発動させる隙を与えないように波状攻撃で攻める! タイミングは各自で計って!』

『おう!』『了解です!』

フォードが懐から取り出して蒔いた種が、氷漬けになった床に落ちるかどうかの一瞬、「インバシオン・ローボ!」を発動したセレス。氷の床から狼の頭だけが作られて、蒔かれたばかりの種をパクッと食べた。その様にアイツは「はあ!?」って声を出した。ざまぁみろ。次はあたしの番だ。

「くそが!」

フォードは乱暴に脱いだジャケットを、アイツの神器を持つミヤビに向かってバサッと払った。ミヤビはジャケットから飛び散った「種・・・!」って一瞬驚いたが、すぐに「冷填外装!」を発動した。全身から冷気を放出したことで、ミヤビに引っ付いた種が凍って砕け散った。

「おらぁぁぁぁぁ!」

あたしはそんなフォードへと “アイゼン”を振り被った状態で突撃。んで、ハンマーフォルムの通常攻撃「テートリヒ・シュラーク!」をお見舞いしてやる。

――エキポ・プロテクトル――

「甘ぇんだよ!」

一瞬で右腕を飲み込んだ植物は籠手になって、あたしの一撃を完全に防御。しかも殴り飛ばされることなく、逆に腕を振るってあたしを弾き返しやがった。あたしの内に居るリインが『ヴィータちゃん気を付けてください!』って忠告する。空中でのあの踏ん張り、シャレにならない反撃が来る可能性がある。厄介だな。

「地面や壁からしか植物を生やせないとでも思ったか? 残念! 種さえあればこういう風に植物兵装を発動できる! ムカつく我らがボス様が仕事を終えるまでは引き付けろって話だが、倒したとしても問題ねぇよなぁ!!」

――アルマ・デ・エスピナス――

右腕だけじゃなくて全身を覆う植物の鎧。さらに右手には棘が生えまくる茨で作られた棍を作り出して、軽く一振り。それだけでフォードの周囲の氷の床が粉砕された。

「出来るだけ壊さないで済ましてやるよ」

「上等だよ。鉄槌の騎士の破壊力を受けてみやがれ! アイゼン!」

≪Raketen form !!≫

“アイゼン”をラケーテンフォルムに変形させて、突貫力を引き上げてやる。次のターンはミヤビだからそっちをチラッと見やると、ミヤビは開けた口から真っ白な冷気を放出してた。んで、アイススケートみたいに床を滑り出して、そのままフォードに突っ込んでく。

「食らいやがれ!」

――レプロチェ――

「「「っ!」」」

フォードの纏う植物鎧から蔦が伸びて、突っ込んで来たミヤビを飲み込もうとぐるぐる巻きしてく。ミヤビは「こちらで何とかしますので、先輩たちはフォードを!」っつったから、あたしとセレスはアイツの左右から突っ込む。

「アレグレ・バイレ!」

フォードの両腕を覆う植物籠手からパック〇フラワーのようなやつがいくつも生えてきて、口から弾丸・・・じゃなくて種をマシンガンのように吐いてきた。

「鬱陶しい!」

――雪風の鉄壁(ベンティスカ・パレドゥ)――

「リイン!」

『はいです!』

「『ラケーテン・・・ハンマァァァァァ!!』」

吹雪を纏ったセレスがそのまま突っ込んでくと同時にあたしは“アイゼン”のブースターを点火、大回りでフォードに突っ込んだ。

†††Sideヴィータ⇒アリシア†††

映像で見て知ってたけど、“T.C.”の幹部レオンは確かにドラゴンボ〇ルの変身後ブ〇リーみたな体格してるし、戦い方もそっくりだった。レオンはシャルたち特騎隊が束になっても倒せなかったヤバい奴で、そんなヤバい奴と戦うため、ここ第2トレーニングルームで待ち構えてるのは私、妹のフェイト、サポートのすずか、特騎隊のルミナの4人。

「ねぇ、レオン。あなた、少し見ない間にこれでもかってくらいにアクセサリーを付けてるけど? どっかで盗んできた?」

「はっはっは! 仮にも世界丸ごと1つを統治した王だった我が、盗みなどちっぽけな罪など犯すものか! これらは我が自慢の神器たちだ! 先の戦闘では我は神器を何ひとつとして持っていなかったからな! 真技を使わざるを得なくなり、お前たちに敗北しそうだったが、今回は違うぞ! 完全武装となった我を止められるものなら止めてみるがいい!!」

重そうな金属製の輪っかを頭や首、両腕にこれでもかってくらいに装着したレオンがそう言って大笑い。ルミナが「何で今回に限って完全武装? ありえないんですけど・・・」って大きな溜息を吐いた後、両拳に魔力集束を始めながらチラッとすずかの方を見た。
すずかもその視線に気付いて、「全力でサポートします!」“スノーホワイト”のフルドライブ、ブリザードクロウのシリンダーカートリッジを機能させて、相性の良いセレスの氷結系魔力が込められたカートリッジをロード。一気に魔力量を跳ね上げさせた。

「すずか! 私とアリシアにもお願い!」

「うんっ! パワーブースト・オールフォース!」

“スノーホワイト”にカートリッジシステムを搭載してから組み上げた、すずかの最強のブースト魔法。斬撃・打撃・射砲撃をひっくるめた攻撃力、シールド・バリア・フィールドをひっくるめた防御力、さらに身体機能や魔法効果も同時に強化するもので、カートリッジの魔力で発動できるようになったトンデモ魔法。

「準備が整い次第そちらから攻めてくるがいい」

「その余裕、すぐに消し飛ばしてあげる。フェイト、アリシア、すずか。準備は?」

「「「いつでも!」」」

私は射砲撃のサポートに専念するために“ブレイブスナイパー”を武装して、サポートのすずかと一緒にトレーニングルームの端の方に移動・・・っとその前に、“バルディッシュ”を二刀一対のライオットザンバーⅡで起動してるフェイトに「頑張って」って声を掛けると、フェイトも「アリシアも。頼りにしてる」って言ってくれた。

「ふむ。もう戦闘準備は済ませたのか?」

「ええ」

ルミナとフェイトが顔を見合わせて頷き合うと、レオンが「よい! では楽しませてもらおう!」ゆっくりと2人の元へ歩き始めた。わたしは加速と弾道安定効果を持つ環状魔法陣を展開した“ブレイブスナイパー”の銃口をレオンに向けて、アイツの一挙手一投足を注視。

『アリシア。弾種は任せる。私に続いて何か撃ってみて。ルミナ、いい?』

『異議なし。私もあの神器の効果を知っておきたいし、まずは中遠距離で攻めて行こう』

――プラズマランサー――

フェイトの周囲に雷槍が8本と展開して、ルミナはグッと構えを取った。それでもレオンは堂々と歩いて来ていて、完全に受けのご様子。戦闘映像でも特騎隊の攻撃を避けるでもなく防ぐでもなく、まともに食らって通用しないことを見せつけてきてた。アレ本当に趣味が悪い。

「ファイア!」

レオンに向かって放たれた雷槍が次々に着弾して、放電する魔力爆発が起きる。だけどやっぱり「本当に効かないんだ~」ってフェイトが言うように、アイツはよろけもせず、破れた服から覗く素肌にも傷どころか火傷すらない。

「(威力が足りないなら、徹底的な威力重視で撃ち抜く!)ファイア!」

――ジャベリン・メテオ――

トリガーを引いて発射したのは威力重視の炸裂弾4発。狙うのは致命傷にならないように胴体から離れた前腕。腕を撃ち抜かれたら少しは大人しくなると思うから。問題は、私の魔法がレオンなんていう怪物に通用するかどうかだけど・・・。

(私の魔力量はチーム海鳴の中で一番少ないけど、魔術戦で重要なのは魔力量じゃなくて神秘の濃度。私がもらったカートリッジはシャルの神秘が封じられてる)

レオン戦の映像じゃシャル達はまともにダメージを与えられてなかったけど、非殺傷設定なんて優しいものが魔術には無いからこその手加減の結果。今回の本局決戦は今までと違って、本局に保管されてるロストロギアなどを護ることにもなる。負けたり逃がしたりしたら、それは特騎隊だけじゃなくて時空管理局っていう組織全体の負けにも繋がる。だから・・・。

(病院直行コースくらい平気でやるからね!)

私の魔力弾がレオンの両腕に着弾、そして炸裂。レオンの表情を見てみると、表情も顔色もまったく変えてなかった。さらにフェイトの雷槍と、私の炸裂弾を「ファイア!」と連射する。アイツは私たちの猛攻を受けながらも「はっはっは! 温い温い!」って大笑いしてたけど・・・。

『そのまま撃ち続けて!』

ルミナが念話で指示を出しながらレオンに突っ込んでく。ルミナは私たちの射線を邪魔しないように走って、「その余裕を打ち砕く!」って集束した魔力を纏う右腕をグッと引いた。ルミナは対レオンのために、待機時間の合間にここトレーニングルームを魔力で満たしてた。だから今から放つ集束打撃の威力は、なのはのブレイカーの数倍はありそう。

「ほっほう! 大した魔力量! それに神秘も申し分ない! これは我も気合を入れねばな!!」

――グアルディア――

「うわぁ・・・」

「す、すごい・・・」

レオンの筋肉が膨張したことで体が一回りほど大きくなったし、薄っすらと魔力も全身を覆ってる。そんなレオンに最接近したルミナは、床が割れるほど力強く軸足を踏みしめて、強大な魔力を纏った右拳を繰り出した。

「ムート・フェアナイデン!!」

「受けて立つ!!」

同じように振りかぶった右拳を繰り出したレオン。ルミナとレオンの拳の大きさは、ピンポン玉とバスケットボールみたいな差があって、腕の太さなんて比べるまでもない。そんな2人の拳が真っ向からぶつかるとルミナの魔力が大爆発して、青緑色の魔力がトレーニングルームを染め上げた。

†††Sideアリシア⇒なのは†††

私とシャルちゃんが待ち構えていた第10トレーニングルームに、なんと想定外の“T.C.”のリーダーが転送されてきた。足首丈のローブを身に纏い、フードで素顔を完全に覆い隠している男性。身長はそれほど高くないと思うけど、170㎝はありそう。

「あなたがT.C.のリーダーであることは確かなの?」

シャルちゃんがそう問い質すと、リーダーという人はコクリと小さく頷いた。そんな彼にシャルちゃんは「結構。なら大人しく投降しなさい。まずはフードを外して素顔を見せなさい」と言ったけど、リーダーは無言で佇んだままで、従おうとはしなかった。

「指示に従いなさい」

右腰の鞘から“トロイメライ”を抜き、左腰の鞘から“キルシュブリューテ”を抜いたシャルちゃんは、「今すぐに武装解除しなさい。これが3度目の警告」と言いながら二刀もカートリッジをロードした。私も“レイジングハート”をエクセリオンモードで起動しているし、ブラスタービットも最大の4基を展開中で、リーダーを包囲させている。

「高町なのは一等空尉です。お願いです。投降してください。あなた達は確かに悪事を働いていますが、根っからの悪者とは思えないんです。何か事情があるんですよね? もし悪事以外で手助けがあることがあれば教えてください」

『え? なのは・・・?』

『ごめん、シャルちゃん。T.C.のやっている事が、あの事件と重なっちゃうんだ。闇の書事件の八神家と、PT事件のテスタメント――ステアちゃんと・・・』

はやてちゃんを“闇の書”の呪いから救うために、魔導犯罪者をこれでもかというくらいに襲撃したヴィータちゃんたち守護騎士。死にゆく自分を救うために“ジュエルシード”を求めて、管理局と敵対したステアちゃん。どちらも誰かの命のための悪事だった。“T.C.”も似たような事件を起こしているから、もしかするとって思うんだ。

『でもだからって情を移さないようにね。魔術師はエクリプスウィルス以上に危険な存在なんだから』

『うん、判ってる。ちょっとだけお話させて?』

『判った。でもまずは拘束してか――』

『緊急事態発生! 緊急事態発生! 第1から第3拘置所にて脱獄が発生! 繰り返します! 第1から第3拘置所にて脱獄が発生! 手の空いている魔導局員は至急確保を願います!』

「「えっ・・・!?」」

シャルちゃんとの念話でそんなことを話していたら、トレーニングルーム内にそんな内容のアナウンスがこだました。本局で脱獄なんて私の知る限り前代未聞だ。驚いてた私とシャルちゃんの視線は自然とリーダーの方へ向かった。

「これ、あなた達の仕業・・・よね?」

「・・・」

「沈黙は肯定と取るよ? いいね?」

シャルちゃんの最後通牒を受けたリーダーは小さく首を縦に振った後、両手に白銀色のオートマチックピストル(短い銃身下から垂直にフォアグリップは伸びてる)を携えた。いきなり出現したことでアレは間違いなく「デバイス!」だ。

「武装確認! なのは!」

「っ! あなたを逮捕します!」

≪Load cartridge≫

シャルちゃんから貰ったカートリッジをロードして、「レストリクトロック!」を発動。ブラスタービットが後部から魔力ロープを生成しながらリーダーの周りをぐるぐる回って、魔力ロープを巻き付けていく。

「何を目的に拘置所の犯罪者を解き放った!!?」

――炎牙双月刃――

二刀の刀身に真紅色の炎を纏わせての斬撃二連を繰り出すシャルちゃん。リーダーは私のバインドで拘束されていたけど、膂力がすごいのか体を動かすだけでブチブチと引き千切り始めた。魔術化しているバインドでの拘束で、あの容易に千切る様はリーダーもやっぱり魔術師だってことを証明していた。

「おおおおおおお!」

「・・・!」

――ガードブレード――

“キルシュブリューテ”の一撃を、右銃のフォアグリップから展開された魔力刃で防御したリーダーだったけど、シャルちゃんは即座に“トロイメライ”の一撃を打ち込んだ。リーダーの左腕はまだバインドから逃れてないから、その直撃を受けた。

「っ!?」

「シャルちゃん・・・?」

ガキィン!と甲高い音を立てて“トロイメライ”の刃を受けたリーダーはよろめくこともなく、自由な右銃をシャルちゃんに向けようとした。だから「レストリクトロック!」をもう一度発動して、さっきよりさらに頑強にリーダーを拘束する。

「ありがと、なのは!」

「うん!」

シャルちゃんが一足飛びで後退してリーダーから距離を取り、二刀を上段に振り上げたところで『緊急、緊急!』とまたアナウンスが入った。大まかな内容は、“T.C.”幹部の1人である召喚者アーサーやその他のメンバーが魔力を吸収する猫の軍団を率いて脱獄犯の魔力を奪っていて、シャルちゃんたち特騎隊――特務零課の応援を要請する、というものだった。

「シャルちゃん!」

『~~~~~っ! こちらイリス! クラリス、アリサ、シグナム! 応援に向かって!』

『『『了解!』』』

『ルシル、はやて、アインス! そっちは!?』

『こちらはやて! 現在プリムスと交戦中! ルシル君だけでも向かわせよか!?』

『ん-・・・いやいい! きっちりプリムスを倒しておいて!』

『了解や!』

アーサーを相手にするために第11トレーニングルームで待機してるアリサちゃん達は、すぐにアーサーの逮捕に動いてくれた。はやてちゃん達は残念ながら幹部の1人であるプリムスと交戦中。なら少しでも早くリーダーを捕まえて、他のメンバーも逮捕に向かわないと。

「なのは!」

「う、うん!」

「光牙烈閃双刃!!」

「エクセリオンバスタァァァァーーーー!!」

シャルちゃんが振り下ろした二刀から放たれる2発の剣状砲撃と、私の放った5発の砲撃がバインドから逃れようともがくリーダーに直撃して、大爆発を起こした。

「このまま短期決戦で仕留める。覚悟は良い?」

「・・・大丈夫。戦いながらでもきっとお話し出来るから」

もうもうと立ち上る煙から無傷で現れたリーダーに、私とシャルちゃんは身構えた。
 
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