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星河の覇皇

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第七十六部第三章 エウロパから見た死闘その十三

「まことに」
「では」
「はい、侯爵のご息女もです」
「今言っていることはですね」
「忘れるか思い出になります」
 幼い時のそれにというのだ。
「ですからご息女のご婚姻はです」
「考えていっていいですね」
「そう思います」
「実はフランスのギーズ侯爵からお話がありまして」
「あの代々軍人の」
「はい、元帥ひいてはエウロパ元帥も輩出している」
 つまり武門の名門の家である。
「あの家からです」
「そうしたお話がありますか」
「当家は武門の家ではないですが」
 貴族院の家だ、リッテンブルグ家はドイツの貴族院ひいては中央政府貴族院の議員を代々務めている家だ。リッテンブルグ自身今はドイツ貴族院議員であるし中央政府貴族院議員である父が引退すればその跡を継ぐことが決まっている。
「しかしです」
「そうしたお話がでるね」
「来ていますので」
「お受けになられますか」
「検討中です」
 今の時点ではというのだ。
「そうしています」
「左様ですか」
「ギーズ侯爵家は確かにですね」 
 ここでランズハイムもフランスのこの家について述べた。
「今もご当主がエウロパ元帥でしたね」
「軍司令で」
「代々元帥を出しておられますね」
「その上のエウロパ元帥、軍務大臣になられた方もです」
「おられましたね」
「まさに武門の名門です」
 リッテンベルクもランズハイムに話した。
「昔からの」
「そうでしたね、エウロパ戦役でも活躍して」
「お家のどの方も」
「ドイツで言うならマンシュタイン家ですね」
「ああ、あの」
「はい、マンシュタイン家はプロイセンからの家ですが」
 あのエーリッヒ=フォン=マンシュタインの家であるとされている。第二次世界大戦の名将でありこの人物は武門の名門の出身だったのだ。
「家の古さはマンシュタイン家程ではないにしても」
「千年の間でしたね」
「海賊征伐やサハラ侵攻でも実績のある」
「そうした家でしたね」
「はい、まさかです」
 武とは関係ないがとだ、リッテンベルグは話した。
「縁談が来るとは」
「どういうことでしょうか」
「わかりません、ただ」
「ただ?」
「ギーズ家もドイツにも縁戚を作りたいのでしょうか」
「それが目的ですか」
「はい、縁戚は多いに限ります」
 それが貴族のステータスになるからだ。
「それで、でしょうか」
「それなら有り得る話ですね」
「ギーズ家は阿蘭陀に縁者が多いそうですし」
「それで今度はですか」
「ドイツにもとです」
「そう考えて」
「それで、でしょうか」
「そうですか、ただフランス貴族といえば」
 ここでだ、ランズハイムはこの貴族のよくある縁戚のことを話した。
「イギリスやアイルランドと」
「それが多いですね」
「はい、そうではなくですね」
「当家にです」
 つまりドイツにというのだ。 
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