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星河の覇皇

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第七十六部第三章 エウロパから見た死闘その十二

「是非共」
「それではお願いします」
「その様に、それで私の上の娘ですが」
「マリー嬢ですね」
「はい、実はまだ八歳なのですが」 
 今度は困った顔になってだ、リッテンブルグはこう言った。
「アイドルグループに夢中で」
「まさか」
「そのリーダーのショーンとかいいましたか」 
 その辺りはあまり詳しくない感じの言葉だった。
「特に夢中でして」
「将来はですか」
「彼と結婚したいと言っています」
 こうランズハイムそしてブラウンシュタインに話した。
「全く、女の子というものは」
「ははは、それはあれです」
 そのリッテンハイムにブラウンシュタインはおおらかな笑顔で話した。
「子供にとってはしかです」
「はしかなのですか」
「誰でもあることです」
 女の子ならというのだ。
「それこそです」
「普通にですか」
「あるもので」
 それでというのだ。
「我が家の娘達もでした」
「長女殿も次女殿も」
「三女、末娘はまだ三歳なのでそれは言っていませんが」
 しかしと言うのだった。
「おそらくは」
「その様なことをですか」
「言うでしょう」
「アイドルと結婚したいとですか」
「俳優なりロックスターなりです」
「そうなのですか」
「女の子によってはスポーツ選手もあります」
 こちらのジャンルの者達ともというのだ。
「そう言ったりします、時には同性であっても」
「わかりませんな」
 リッテンブルグはブラウンシュタインの言葉に首を傾げさせて応えた。
「これが家の美男の使用人ならです」
「わかりますか」
「私は小さい頃あるメイドが好きでした」
 リッテンブルク家の屋敷に仕える、というのだ。尚こうした使用人の待遇は寛容かつ好待遇にせよとエウロパの法で明記されているし貴族のマナーにもなっている。連合の言う搾取や虐待は法律違反であり実際はほぼない。
「それだけでしたが」
「そうでしたか」
「はい」
 虐待には不倫も入ったりするので貴族が使用人と関係を持つことも許されていない、エウロパではそもそも貴族と平民の間での性交渉はタブーとされている。婚姻もまずない。
「それでも使用人ならわかりますが」
「アイドルはですか」
「テレビ等で見ているだけなので」
「しかしそれでもです」
「好意を抱くのですか」
「憧れとも言うかも知れませんが」
「それで結婚をしたいと」
 リッテンブルグは今度は考える顔になって述べた。
「言うのですか」
「女の子はそうしたものです」
「そうですか、では」
「はしかなので」
「物心がついてですね」
「貴族の義務を知れば」
 結婚も家同士のものであるということをだ、これもまた貴族の義務であり爵位を持つ家ならば余計に護らないといけないことだ。
「それで、です」
「それに従ってですね」
「結婚を受け入れます」
「そうなりますか」
「はい、ですから」
「気にすることはないですか」
「至って普通のことです」
 女の子ならというのだ。 
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