| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十六部第二章 戦闘開始その五十四

「普通に個室でシェフがね」
「食事を作るんですか」
「そうだよ」
「何か凄いですね」
「だから階級社会だから」
 階級によって待遇が違うというのだ。
「それは軍隊の中でもだよ」
「病院の中だけじゃなくて」
「今君は軍の病院にいるけれど一般の病院でもそうだよ」
 エウロパではというのだ。
「むしろさっき君が言ったけれど軍隊でもじゃなくて」
「軍隊なら余計にですか」
「貴族が志願するとね」
 軍隊にそうすればだ。
「絶対に士官からだから」
「爵位なくてもですか」
「そう、貴族ならね」
 それこそ騎士や紳士でもだ。
「絶対にだよ」
「士官からはじまるんですね」
「貴族の下士官や兵士なんていないから」
 一人もだ、このことは事実である。
「平民でも士官学校に入学出来るけれど」
「兵士や下士官はですか」
「絶対に平民だからね」
「それで病院でもですね」
「平民用と貴族用があってね」
「完全に分けられているんですね」
「学校もそうだしね」
 軍隊や病院だけでなくこちらもというのだ。
「もう社会が完全に二分されているんだよ」
「そうなっているんですね」
「そう、まあ君はオムダーマンの人間だね」
「南方出身ですがね」
 そちらで徴兵検査を受けて兵士に選抜されたのだ。
「それでオムダーマンです」
「階級がないからね、オムダーマンは」
「それはティムールでもですね」
「全ての者はアッラーの前に等しい」
 医師は彼等の宗教の言葉も出した。
「そういうね」
「はい、確かに」
「誰もが同じ人間だよ」
 立場やそれぞれの得意分野の違いはあってもだ、かつては王侯も物乞いも同じムスリムとさえ言っていた。
「サハラには独裁国家はあったしね」
「ティムールよりずっと酷い」
「そう、世襲制のそうした国家もあったけれど」
「階級はですね」
「なかったからね」
 イスラムの教えが強くあってだ。
「そうなっていたからね」
「だから階級がないんですね」
「そうだよ、最初からね」
「そういうことですね」
「そんな病室とか食事まで分けるとか」
「そういうのはないですか」
「医師まではわからないけれど」
 治療を行う彼等はというのだ。
「本当に違うから」
「社会が二分されていて」
「何もかもがね」
「じゃあ俺の病室にも」
 入院するそこの話もする兵士だった。
「士官の人が来てもですね」
「有り得るよ」
 実際にという返事だった。
「それも」
「やっぱりそうですか」
「そうしたこともね」
「まあそうですよね」
「そうだよ、まあこれはマウリアでも違うみたいだけれど」
 医師は今度はこの国の話をした。
「どうやらね」
「あそこはカーストですね」
「カーストの違いでね」
 まさにそれによってというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧