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星河の覇皇

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第七十六部第二章 戦闘開始その五十五

「やっぱり食事も病室もね」
「違うんですね」
「何でもアウトカーストだとね」
「普通の病院にはですね」
「入られなくてね」
 そうなっていてというのだ。
「保険だってね」
「ないんですか?」
「いや、今は普通のマウリアの保険に入っているけれど」
 マウリア社会のそれにだ。
「昔はアウトカースト社会の保険で」
「そうだったんですか」
「病院もね」
 これもというのだ。
「アウトカースト層の病院で」
「エウロパ以上にですか」
「分かれていたそうだよ」
「アウトカーストだとですか」
「完全に違うから」
 マウリアにいてもだ。
「戸籍もなかったし」
「完全に別の社会、いや」
「国だよ」
「そんな状況だったんですか」
「移動手段も違ったしね」
「何か一つの世界に二つの国がある」
「そんな風だったんだよ」
 線路や空港、船ひいては宇宙船もそうであった。アウトカーストにはアウトカーストの社会がマウリア社会とは別にあったのだ。
「あそこはまたね」
「それは凄いですね」
「あそこはシュードラまでは構成員だよ」
 マウリア社会、そこのだ。
「そうしてね」
「アウトカーストはですね」
「マウリアに暮らしていても」
「マウリア人じゃなかったんですか」
「長い間ね」
「それは何ていいますか」
 兵士はその話を聞いて首を傾げさせてこう言った。
「想像出来ないですね」
「サハラからしてみすと」
「はい、とても」
 そうだというのだ。
「どんなのだか」
「そうした国もあるってことだよ」
「とどのつまりはですね」
「そうだよ」
 医師はこう兵士に話した。
「そうなるんだよ」
「そうですか」
「そう考えるといいよ」
「わかりました、じゃあ俺はオムダーマン軍の兵士として」
「治療を受けてもらうよ」
「そうさせてもらいますね」
 医師に素直に述べた。
「飯も食って」
「そうするんだ、いいね」
「美味い飯なら最高ですがね」
「何度も言うがそれは保証出来ない」
 やはり病院の食事だからだ。
「だが口に合うならだ」
「好きなだけですね」
「食べるといい」
 太り過ぎにならない位にというのだ。
「そうしてくれ」
「わかりました」
 兵士は医師の言葉に頷いた、そうしてだった。
 彼は入院生活をゆっくりと送ることにした、そして幸いに病院の食事が彼には合ってそうしてそちらでも満足出来た、そのことは非常にいいことだった。
 だが彼は入院して一ヶ月するとその医師にこう言われた。
「このままだと太り過ぎになるからね」
「食事はですか」
「程々にね」
「朝昼晩腹一杯食って身体を動かしてないですから」
 足を骨折してだ、だから正確に言うと動けないのだ。
「だからですね」
「そこは気をつけないとね」
「じゃあこれからは」
「うん、食事は節制しようね」
「仕方ないですね」
「流石に太り過ぎまではよくないからね」
 実に肉付きがよくなった兵士に言った、確かに彼はもう肥満の世界に入ろうとしていた。 
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