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リュカ伝の外伝

作者:あちゃ
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親への感謝の気持ち②

<サンタローズ>
ポピーSIDE

辺りは暗くなり、後4時間もすればバレンタインデーへと日付が変わる頃、お祖母様宅のキッチンにある作業用テーブルで、俯せで気絶するティミーが目にはいる。
「ティミー君…ねぇ、ティミー君!大丈夫!?ティミー君!!」
隣には泣きながらティミーを揺さぶるリュリュが…
あはははは………すんごいカオス!
此処までの状況を説明しよう。


キモいティミーに我慢しながら、クッキー作りを開始したリュカチルドレン!
私が予め用意しておいた食材を使い、思い思いの形にクッキーを作って行く。
そして焼き上げ、出来栄えを試食する面々…
多少の焦げや型くずれなどがあったものの概ね成功で、ティミーも初料理を成功させた…
一人を除いて…

「リュリュ…これ…何?」
私は『フンコロガシ』と言う虫が転がしてる物体によく似た物を指差し、制作者のリュリュに尋ねてみる。
「…ク、クッキー?」
「私に聞かないでよ!確かにクッキーを作ってたはずよ…でもこれは…」

「何だよ!ちょっと見た目が悪いだけだろ!味に大差は無いよ!」
心優しき我らのお兄ちゃんが、リュリュが作り出した謎の物体を勢い良く口に放り込む。
「うっ………」(バタン!)
凄い…私初めて見た…人が泡ふいて倒れたよ。
「きゃー!ティミー君!しっかりして、大丈夫!?」


10分後…
黄泉の国から無事生還したティミー…
「大丈夫…ごめんね、私の所為で…ごめんねティミー君…」
目覚めたティミーを見て、メソメソ泣き出すリュリュ…

「ち、違うよ!リュリュの所為じゃ無いよ!勢い良く口に入れたから、喉に詰まっちゃっただけだよ!お、美味しかったよ!ほ、本当に…」
「あぁそう…美味しかった…じゃぁ全部食べなさいよ!見た目悪いから、全部失敗作よ、これ!」
「うっ………た、食べるよ!美味しかったもん…リュリュの作った最高のクッキー…全部独り占めだぜ!」
大変ね男って…惚れた女に泣かれると、ムリをしてでも嘘を吐くのね…

ティミーは残りのリュリュクッキーを一気にほおばり、そしてダッシュでトイレへと駆け込んだ。
「あの姿を見て、惚れる女が居るのかしら?………ふぅ、じゃ概ね成功だし、お嬢ちゃん達は早めにお家に帰さないとね。リュリュ、私はこの子達を送ってくるね…直ぐ戻って来るから、そうしたら再挑戦よ!」
「う、うん…頑張る…けど………ティミー君は良いの?」
便器に顔を突っ込み気絶する兄をチラリと見て…
「そっとしておきましょ…」
と呟き、ラインハットとグランバニアへちびっ子達を送り届ける為ルーラを唱える。


ちびっ子達を送り届け、サンタローズのお祖母様宅へ戻ると、リビングのソファーでティミーが横になっている。
フレイに膝枕されているが、リュリュクッキーの所為で苦しそうに寝ている…

フレイは心配そうにティミーの頭を撫でて、一生懸命介抱している。
変態が此処にも居た…
どうやらフレイはブラコンの様だ。
ティミーお兄ちゃんを愛している様だ。

二人を見つめる私と目が合うと、恥ずかしそうに顔を赤くしそっぽを向いてしまう。
うふふ…大変ね!其奴は貴女のお姉ちゃんにベタ惚れよ!
大変ね!そのお姉ちゃんは、実の父親にベタ惚れなのよ!
そしてお父さんは絶対に娘には手を出さないわ!大変ね♥

飽きないわぁ…見てて飽きない!
家族を見ているだけで、こんなに面白いなんて…
やっぱりお父さんには大感謝よ!
こんな素敵な家族に巡り会わせてくれて。


「おら!何時までも寝てんじゃないわよ!クッキング再開よ!」
心がほっこり和んだところで、フレイの膝枕で寝るティミーを蹴飛ばし、ソファーから転げ落とす!
「いって~…」
「大丈夫ティミー君?」
心配そうにティミーに近付き声を掛けるリュリュ…
「だ、だいじょう……ぶ……」
床に転げた状態で、リュリュを見上げるティミーの視線が停止する。

「リュリュ…その位置に立ってると、ティミーにパンツが丸見えよ。つーか今観賞中よ」
「きゃー!ティミー君のエッチ!!」
「ち、違…そんなつもりは…」
「あはははは、ティミー何色だった?」

「え!?し、白…」
真面目に答えてんじゃないわよ!
そう言う時は嘘を吐きなさいよね…
「エッチ!」
「あ、いや…ごめん…その…」
「良いじゃないのリュリュ。貴女のクッキーを食べて死にかけたんだから、それぐらいのご褒美をあげても!…さ、再開よ」



「ティミー君…ねぇ、ティミー君!大丈夫!?ティミー君!!」
隣には泣きながらティミーを揺さぶるリュリュが…

「…死んだ?」
「い、生きてるよ!リュ、リュリュのクッキーで死ぬわけ無いだろ…」
愛の力って凄い…
しっかし、そんなに不味いのかしら?
私はテーブルに落ちてた一つまみの欠片を試食してみた。

「うっ、ゲロまず!」
「ふぇ~ん…ごめんなさい…」
「口に気を付けろバカ女!不味くない!独特な味がするだけだ!」
それを不味いって言うんだよバ~カ!

「私もう止める…クッキー作らない!」
リュリュが泣きながら放棄する。
「止めるって…じゃぁお父さんへのプレゼントはどうするの!?」
「私…別の物をプレゼントする…」
「別の物?」

「お父さんエッチだから、私の脱ぎたてのパンツをプレゼントする!こんな不味い物より、ずっと喜ぶわ!」
あぁ…とんでもなく暴走してる…
「あのねリュリュ…プレゼ「もうヤなの!パンツがダメなら、私の処女あげる!」
もうそれお父さんの為じゃなく、自分の欲望だろ…

「リュ、リュリュ…諦めちゃダメだ…リュリュのクッキーは美味しくなってきてる…だから…諦めちゃダメだ!もう一息だ!」
リュリュのパンツと処女を守る為、ティミーは頑張るわ…
守ったってアンタの物になる可能性は低いのよ…

「リュリュ、聞いて…プレゼントってのは、心よ!相手を思う心が重要なの…例えお父さんが好きなパンツをあげても、それはクッキー作りを諦めた結果じゃない…それに心がこもると思う?きっと不味くても、手作りクッキーの方が喜んでくれるわ………せめて見た目だけ…見てくれだけでも良いのを作りましょ」
私は優しく、リュリュの頭を撫でて説得する。
「………うん………」
フレイに抱き付きメソメソ泣くリュリュ…何とか続行を承諾し、材料をこね出した。

「ティミー…アンタもういいわ。ご苦労様…あっちでフレイと休んでなさい」
「わ、分かった…ちょっと外の空気を吸ってくる…」
「出来るだけ川下でね!」
死相の出てるティミーがヨロヨロとした足取りで外へと出て行く…

「ティミー君、大丈夫かな?」
リュリュは残り少ない材料を、オーブンへ入れティミーを心配する。
「ダメでしょ、もう!…まぁ良いんじゃない?大好きなリュリュの手料理で死ねるなら!」
「ダメだよ、そんなの…だって私…」
「ティミーの事など眼中に無い?」
「そ、そう言うわけじゃ無いけど…お父さんが好きだから…」
「哀れねぇ、ティミーも………後ででいいから、ティミーにお礼をしてあげてね。リュリュの為に頑張ったのだから…」
「…う、うん…」


何とかリュカチルドレンのクッキーは揃った。
リュリュのクッキーも見た目だけは普通に…
後は明日、みんなでお父さんに手渡すだけ…
きっと不味くても、お父さんなら喜んでくれるはず…私達のお父さんは、凄く優しいから!



 
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