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リュカ伝の外伝

作者:あちゃ
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親への感謝の気持ち①

 
前書き
この話は、2/13に思い付き、急遽書き上げた作品です。
 

 
<サンタローズ>
ポピーSIDE

魔界の魔王ミルドラースを、伝説の勇者とその一行が倒し、世界には平和が訪れ始めた。
世界を救った立役者…勇者の父であるリュカも、ミルドラース討伐後はグランバニアへと戻り、国王として自国民の暮らしを守るべく政務に励んでいる。
その英雄リュカの活躍により、長きに渡り魔界で幽閉されていた聖母マーサも救出され、生き別れになった親子の時を取り戻すかの様に、マーサもグランバニアへと帰ってきた。

しかし英雄王リュカの父パパスの墓が、サンタローズに築かれている事を知ると聖母マーサは、愛しき夫の側で暮らしたいとサンタローズへと移り住む事に…
リュカ王は、生まれ直ぐ生き別れた母とは一緒に暮らしたいと思うも、愛しき母の気持ちを優先し、聖母マーサのサンタローズへの移住を快く承諾する。

そして世界に平和が訪れた最初の年が明け2月14日…
今まで生き別れていた為に、親孝行らしい事も出来なかったリュカ王は、生を与えてくれた愛する母へ、感謝の気持ちを込めて、カーネーションの花束と王妃ビアンカと共に焼いたケーキを手に、サンタローズに移り住んだ聖母マーサの元へ訪れて、感謝の気持ちを伝えたと言う…


「私は忘れない…あの時のマーサお祖母様の嬉しそうな笑顔を…その笑顔から止め処なく零れる、涙の美しさを…」
「僕だって忘れないけどさぁ…何なの、僕達を集めて…しかも長々演説までして…」
マーサお祖母様の家のリビングで、テーブルを囲みお父さんの子供達が勢揃いしている。
私ことポピーを筆頭に、ティミーとマリー…マリソルさんの娘リューナ、スノウの娘リューノ、ピエールの娘リューラ、そしてシスター・フレアの娘フレイとリュリュ…
また私へと連なる様にテーブルを囲み円を作っている。

そして愚兄ティミーを筆頭に、皆が困惑した表情で私を見つめている。
「じゃぁ知ってる?その事がグランバニアの人々に広まり、2月14日は大切な人へ感謝を込めて、お菓子や花束をプレゼントする日になったって!」
「知ってるよ!さらに言えば、発祥元の父さんがそれを聞いて『へー…バレンタインデーみたいじゃん!』って言ったのが元で、この日をバレンタインデーって呼ぶ様になった事も!」
ティミーがリュリュの前で恰好つけようと、持てる蘊蓄を最大限に披露する。
そんな事に口を動かすのなら『リュリュ好きだ!ヤらせてくれ!』ぐらい言えれば早いのに!
「ねぇティミー君…そのバレンタインでーっで元々どういう意味なの?」
「うん、僕も知りたくて父さんに聞いたんだけど…『知らないよ、そんな事!だってそう言われてるんだもん!』って、よく分からない答えが返ってきた」

「はいはい、話を元に戻すわよ!」
放っておくとこの愚兄は、リュリュだけを見つめデレデレし始める…
私がしっかり纏めないと…

「で、明日に迫った2月14日に向け、私達でお父さんに何かプレゼントを贈ろうと思うのよ!」
「まぁ素敵ですぅ、ポピーお姉様!」
ふむ…本心かどうかは別にして、マリーは賛成してくれると思ってたわ!

「私は…別に…構わん………父上の事は…す、好き…だから…」
よし…口下手なリューラも賛成してくれたわ!

「ふん…まぁいいわ!お父さんが喜ぶと、お母さんも喜んでくれるから…か、勘違いしないでよ!私はお母さんが喜ぶ顔を見たいだけなんだからね!」
うん、ウザイけどリューノも協力してくれそうだ。

「うふふふ、私も頑張ります!お父さんに褒められたいの!」
まぁリューナは、私達の中でも1.2を争うファザコンだから、100%賛成してくれると思ったけど…リュリュとどっちがファザコンだろうか…?

「リュリュとフレイは手伝ってくれる?」
リュリュに関しては心配は無い…リューナと同じ理由だから。
ただフレイが読めない…

「手伝うと言われましても…何をするかにもよりますね。女好きのお父さんに、娘一同で身体を捧げると言われれば、協力は出来ませんから」
マリーと同い年とは思えないクールさ…思考が読みづらいわぁ…

「それも考えたけど、そうするとティミーが邪魔じゃん!だから、そんな事はしませんよ!でも、個人的にやりたい人はご自由にどうぞ…私は止めません!」
「ふむ…では何を?」

「うん。私はこの秋にラインハットに嫁ぎます…明日の2月14日がお父さんだけの娘である最後のバレンタインデーです…だから通例に従って、みんなでクッキーを焼きたいと思います!」
「「「おぉ…いいわねぇ…」」」
ふむふむ…概ね良好ね!
でも私の愚兄が困り顔?

「なぁポピー…僕は料理なんてした事ないんだけど…」
「バカじゃないの!?アンタ私の話を聞いてた?『みんなで』って言ったの!料理したことなくても、した事ある人の手伝いは出来るでしょ!ティミー一人で作れって言ってるわけじゃ無いのよ…」
「う、うん…わかったよ…何すれば良いのか指示をくれよ」
まったく…世話の焼けるお兄様ねぇ………あれ?何故だかリュリュまでもが困り顔ね…
「リュリュ…どうしたの?お父さんにプレゼントしたくないの?」

「ち、違うよ!私お父さんの事大好きだもん!プレゼントはしたいよ…クッキーだってケーキだって…私自身をプレゼントしたいぐらいよ!」
私の兄妹は変態揃いね…
極度のシスコンに暴走気味のファザコン…
「じゃぁ何で浮かない顔してんの?」

「………私…料理……ないの…」
「え!?何?聞こえないわ!」
珍しく俯き口籠もるリュリュ…
思わず強い口調で聞き返してしまう。
「りょ、料理が出来ないの!!」

叫ぶ様にカミングアウトしたリュリュ…
皆、黙ってしまった。
「だ、だからさぁ…みんなで協力してクッキーを焼こうねって言ってるんじゃないの!料理出来なくても、一緒にお父さんの為に頑張ろうよ…ね?」
リュリュは恥ずかしさのあまり涙目になっている。

盲点だった…リュリュが料理出来ないとは…
全てにおいて男受けするリュリュ…
そして男の心を鷲掴みにする料理の腕…
男は皆、リュリュのエプロン姿を想像し、シコシコ励んでいるに違いない…
マリーですら、簡単な料理ならこなせるのに…

「ともかく、そんな泣かないで…一緒に頑張るわよね、リュリュ?」
「ポピーさん、お姉ちゃんの料理下手は壊滅的なんですよ!それでも料理させますか?」
ひ、酷い事を言う妹ね…
少しはお姉ちゃんを庇いなさいよ…
…私も端から見たら兄を苛める酷い妹なのかしら?
気を付けた方が良いかしら?………まぁ私の場合はいっか!相手はティミーだし!

「フレイちゃん!そんな酷い事を言ってはダメだよ…お姉ちゃんだって、頑張れば上手く出来るよ!ね、リュリュ…一緒に頑張ろう!」
リュリュの事となるとコイツが張り切る…
今回は有りがたいが、正直引くね!
リュリュの手を握り、一生懸命励ますティミー。
お前知っているのか?妹(マリー)に『キモい』って言われてるんだぞ!
私ですら言った事無いのに…『キモい』って言われてるんだよ!
そろそろ気付いてよ…

「大丈夫よリュリュ…作って失敗したら、優しいティミーが全部食べてくれるから!ね、お兄ちゃん!」
「あぁ!勿論だとも!リュリュの作ったクッキーなら、喜んで食べさせてもらうよ!」
あぁ…本当だ…コイツ、キモい…
失敗した不味い物は全部お前が食えって言ったのに、コイツ気付いてない…

色々な意味で不安になってきたわ…
私、お父さんに感謝の気持ちを伝えたいだけなのに…



 
 

 
後書き
分かりやすくリュカチルドレンの一覧を掲載します。(この話の時点)

母ビアンカ=ティミー(男16)・ポピー(女16)・マリー(女6)

母フレア=リュリュ(女16)・フレイ(女6)

母スノウ=リューノ(女6)

母ピエール=リューラ(女6)

母マリソル=リューナ(女7)

言うまでもないですが、父親は同一人物です。
性別横の数字は現在の年齢です。



蛇足…
リュリュの料理下手設定は、以前「二次ファン」で掲載していた『リュリュちゃん冒険日記 』にて語られた事です。
知らなかった人、ごめんなさい。
知っていた人、ある意味ごめんなさい…多分『リュリュちゃん冒険日記 』掲載は遠い未来になりそうです。 
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