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星河の覇皇

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第七十六部第二章 戦闘開始その四十四

「しかしだ」
「隠すこと自体はですね」
「常にでしたね」
「得意でしたね」
「そうしてきましたね」
「そうだった、スターリンですらだ」
 ソ連の独裁者、やはりヒトラーと同じく隠蔽も得意としていた人物だ。
「攻められることを信じていなかったな」
「まさかと思っていましたね」
「そして攻め込まれて気付きましたね」
「ヒトラーが攻めて来ないと思っていたら」
「そこで、でしたね」
「あれはスターリンのミスもあった」
 ヒトラーの侵略の意図が読めなかったことはというのだ。
「報告は上がっていたからな」
「国境沿いのドイツ軍の動きがですね」
「おかしかったですね」
「開戦直前には」
「確かにそれまでは隠していましたが」
「それでもスターリンですら気付かなかった」
 よくも悪くも優れた政治力を持ち戦略もあった、そして猜疑心が異常に強いせいか勘も備えていた彼がだ。
「それを見るとな」
「優れた政治家、戦略家はですね」
「隠蔽も得意ですね」
「意図や兵器を隠す」
「そのことも」
「あの長官の意図はわかる」
 それはというのだ。
「はっきりしている」
「連合の治安と国防を確固たるものにする」
「それですね」
「海賊やテロリストを掃討し的確な防衛体制を構築する」
「それですね」
「システムも構築していますし」
「他国への侵略の意図はないが」 
 それでもというのだ。
「その意図はわかる」
「守ろうという、ですね」
「連合の国土と市民を」
「そのことはですね」
「わかる。その為のものだ」
 あの和人防衛体制及びシステムはというのだ。
「非常に強力なものでだ」
「それを見せる、我々に誇示してですね」
「そのうえで攻めようとは思わせない」
「それがあの長官殿の意図ですね」
「そうなのですね」
「そうだ、これでもかと他国そして国内の不穏分子に見せてだ」
 つまり海賊やテロリスト達にというのだ。
「攻めよう、悪事をしようとする気にさせない」
「万全の、圧倒的な戦力を見せて」
「そうしてですね」
「攻めさせたり悪事を働かせない」
「そういった防衛ですね」
「確かに効果がある、誰も強い国なぞ攻めない」
 その国が幾ら豊かでもだ。
「それは正しい国防だ」
「そしてその正しい国防をですね」
「あの長官殿は行っているのですね」
「連合の豊かさを使い」
「そうして」
「そうだ、そして見せるだけでなくだ」
 それに加えてというのだ。
「若しかするとな」
「見えない軍もですね」
「用意していますね」
「我々と同じものを」
「その可能性がありますね」
「人が考えるものは結局同じだ」
 こうも言うアッディーンだった。
「画期的な発想を思っていてもだ」
「その実はですね」
「他の者も考える」
「そうしたものですね」
「人間は結局似た様なものですね」
「人種や宗教、民族に関係なくだ」
 それこそ人間ならばというのだ。 
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