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星河の覇皇

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第七十六部第二章 戦闘開始その四十三

「連合と我々は特に何もないが」
「衝突していません」
「我々は連合には興味がないですし」
「そして連合もです」
「サハラには基本無関心ですが」
「それでもですね」
「敵であればシャイターン主席と同じだけの強敵だ」
 今の敵である彼に匹敵するというのだ。
「そして味方であればだ」
「閣下にもですか」
「匹敵する力になり」
「そうしてですね」
「サハラの統一に貢献してくれる」
「そうした方になってくれますね」
「確実にな、もっとも彼はどうも生粋の政治家であると共に生粋の日本人でありだ」
 そうしてというのだ、八条は。
「生粋の連合市民だ」
「サハラの者ではない」
「残念ながら」
「そうだというのですね」
「連合に生まれるべくして生まれた者なのだろう」
 サハラから見て異国であるこの国にというのだ。
「やはりな」
「異教徒でもありますし」
「あの御仁は天理教を信仰していましたね」
「日本から生まれた連合の宗教の一つでしたね」
「他には仏教も信仰しているとか」
「神道も」
「複数の宗教を信仰出来る考えは理解出来ないが」
 サハラの考えではだ、イスラムとはそもそも神即ちアッラーに絶対に帰依することであり他の宗教の神も仏も崇めるなぞ絶対に有り得ないことなのだ。だからアッディーンも複数の宗教を同時に信仰することは理解出来ないのだ。
「連合では普通だ」
「違う宗教の多くの神をですね」
「そうしていてですね」
「あの長官殿もですね」
「そうしていますね」
「どうもな、しかしだ」
 ここでまた八条の話に戻った。
「彼にとっては、そして連合でもな」
「それが普通で、ですね」
「他の宗教を信仰している」
「そちらに生まれるべくして生まれた」
「異教徒としてですね」
「だからもう仕方がない」
 サハラ、そしてムスリムに生まれなかったことはというのだ。
「彼についてもアッラーがそう定められたのだ」
「連合に生まれさせた」
「それも異教徒に」
「そうさせたのですね」
「彼については」
「サハラとの接点は殆どない」
 名は知られているしアッディーン自身会談を行ったこともあるがだ。
「だからだ」
「それで、ですね」
「あの御仁についてはですね」
「サハラには縁がない」
「あくまで連合の人物ですね」
「そうなる、彼については言っても仕方がないところもある」
 サハラとは縁がないからだ。
「どうしてもな、しかし彼もな」
「若しかするとですね」
「あの艦の開発、建造をですね」
「既に行っているかも知れないですね」
「水面下で」
「優れた戦略家は隠匿することにも長けている」
 戦略にある意図や兵器のことをというのだ。
「ヒトラーもそうだったな」
「はい、あの人物もそうでしたね」
「実に見事に隠してきました」
「その真意も兵器も」
「そうしてきましたね」
「中には詭弁も呈した」
 このことは八条とは全く違う、八条は演説も説明も定評があるが真っ直ぐなもので詭弁の類は使わない。 
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