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星河の覇皇

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第七十六部第二章 戦闘開始その三十八

「彼ならばな」
「ではですね」
「その消耗戦への対策を講じてくる」
「そうしてきますか」
「ならば戦わなければいい」
 相手、この場合はオムダーマンが消耗戦を強いてくるならというのだ。
「護りな」
「そうしてですね」
「自分達からは攻めず」
「そうしてこちらが攻めた時にですね」
「打撃を与えるのですね」
「守られるだけの体力があるうちにな」
 防御陣地を構築し攻めない様にしてというのだ。
「そうすればいい、だからだ」
「消耗戦を強いるにしても」
「シャイターン主席が挑まない可能性もある」
「あの御仁なら気付かれて」
「そのうえで」
「そうも考えられる、そう思うと消耗戦もだ」
 この最後の手段とアッディーンが考えているそれもというのだ。
「難しいな、ではだ」
「ここはですね」
「どう戦うかですね」
「それではですね」
「やはりここぞという時に」
「あの艦を使いますか」
「それしかないだろう、だから何とかだ」
 今はというのだ。
「シャイターン主席に気付かれない様にしてだ」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「いざという時に」
「一気に使いますか」
「その時を待つ、戦死者を出すのは無念だが」
 軍人、一般の兵士ですらただ戦場に連れて来るものではないのだ。訓練し被服や食事に居住設備等を与え一人一人にかなりの予算をかけている。戦場に送るだけでも輸送費はかかる金も手間もかかる存在なのだ。
 だからだ、アッディーンもその彼等が死ぬのは無念だと言ったのだ。
「しかしだ」
「今はですね」
「それも止むを得ないですね」
「損害が出ても」
「戦死者が」
「艦艇はまた造ればいい」
 それで済むというのだ、例え撃沈されても。
「だが人は違う」
「死ねばこの世ではです」
「決して戻ることはありません」
「人は生き返るものではありません」
「死ねばそれで終わりです」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「出来るだけ戦死者は出したくないが」
「折角育て上げた将兵達が死んでしまっては」
「そう思うだけで辛いものがあります」
「だからですね」
「この様な激しい戦いにおいても」
「そう思われますね」
「そうだ、しかし勝利の為にな」
 そしてサハラの統一の為にもだ。
「今は仕方がない」
「損害が出るのも」
「多くの戦死者が出るのも」
「無念だがな」
 またこう言ったアッディーンだった。
「勝利の為には。そしてその中でだ」
「閣下もですか」
「何かあっても」
「その時もですね」
「戦場で安全な場所なぞない」
 戦闘が行われているのだ、それで絶対に安全な場所なぞないというのだ。後詰にしても何かあれば投入されるものだ。 
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