星河の覇皇
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第七十六部第二章 戦闘開始その三十六
「胸を張って受けてだ」
「そうしてですね」
「それを糧とし」
「また立ち上がる」
「そうするべきですね」
「そうだ、だから諸君達に話している」
今まさにというのだ。
「そしてサハラもだ」
「誇りある国として」
「誇りある民としてですね」
「生きるべきですね」
「そういうことになる、では私はこれより執務に入る」
国家元首、ティムールの主席としてのそれにだ。
「また次の食事の時にな」
「わかりました」
「それではです」
「執務にもお励み下さい」
「その様に」
「それではな」
シャイターンは頷いてそうしてだった、その執務に入った。彼は胸を張りそのうえで執務にも向かっていた。今は軍務が最優先だがどうしてもサインをしなくてはいけない書類もあるからだ。これはシャイターンも同じだ。
それでだ、彼もまた国家元首としてどうしてもサインしなければならない書類にサインをしていた。だが彼の場合は。
その食事の後を見てだ、執務室に控えている幕僚達が彼に問うた。
「あの、お食事ですが」
「我等と同じものですが」
「他の将兵達と同じものでいいのですか」
「閣下は軍務の間は常にそうですが」
「それで構わないのですか」
「何か問題があるのか」
食べ終えた食器をだ、アッディーンも見た。そのうえで彼等に問い返した。
「それで」
「いえ、あるかといいますと」
「ありません」
「それはありません」
「しかし国家元首ですので」
「キッチン位は普通にです」
「別に出来ますが」
それは可能だというのだ。
「艦内にそうした場所を設け」
「それが出来ますが」
「それもされないで、ですか」
「他の将兵達の食事を作るキッチンで作ったものを召し上がられています」
「同じ鍋のものを」
「そうしていてもいいのですね」
「私はそれで構わない」
アッディーンの返事は変わらなかった、それも一切。
「私も戦っているのだからな」
「だからですか」
「それで構いませんか」
「そういえばベッドもそのままですが」
「普通の艦内のベッドでも」
「それでもいいのですね」
「そちらも構わない、ベッドは普通でいい」
実は大統領官邸でもそうだ、アッディーンのベッドは実に質素なものだ。シャイターンの天幕の最上級の絹のカーテンまであるベッドではない。
「それで何も困ることはない」
「そうですか」
「質素であられ続けますか」
「そうされていきますか」
「興味がないのだ」
贅沢、そうしたものにだ。
「私はな」
「だからですね」
「お食事もベッドもそうで」
「何もかもがですね」
「そのままでいいのですね」
「別にな、そしてだが」
アッディーンは幕僚達にサインをしつつさらに話した。
「諸君等に聞きたいことがあるが」
「はい、軍の現状ですね」
「我々の」
「それですね」
「三十個艦隊が衝突してだ」
そうしてというのだ。
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