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星河の覇皇

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第七十六部第二章 戦闘開始その二十五

「そして次もだ」
「その時もですね」
「戦いに入れば」
「相手の隙を伺う」
「そして隙を見せないのですね」
「そうだ」
 まさにという返事だった、そうした返事をしつつだった。シャイターンは鋭い目の光りからは想像も出来ない優雅な仕草でステーキを切り口の中で噛みつつそのうえで今度は控えていたシェフ達に対して言った。
「これまでは戦闘中もだったな」
「はい、お食事はでしたね」
「何十ものメニューを出していましたね」
「ですが先の戦闘の時はです」
「最初から断られていましたね」
「携帯食でいいと」
「こうした食事を摂る余裕なぞなかった」 
 だからだというのだ。
「それでだ」
「あの時はでしたね」
「携帯食をご自身の席で食された」
「そして次の戦闘の時もですね」
「そうされるのですね」
「貴殿達は将兵の食事に回ってくれ」 
 彼等が食べる食事の調理にというのだ。
「私も食べるがだ」
「そちらに向かえ」
「閣下のお料理ではなくですね」
「そちらにというのですね」
「そうだ、私がいつも通りの食事を口にするとだ」
 優雅な馳走をというのだ、今の様に何十もの豪勢な料理がテーブルの上に並び最高級のワインまであるそれは。
「私の部屋でな、そうするとだ」
「その時はですね」
「閣下が指揮を執られないので」
「それで、ですね」
「その間にですね」
「アッディーン大統領に攻められてだ」
 シャイターンが食事を摂り指揮を執っていない間にというのだ。
「そして敗れる」
「だからですね」
「次も戦闘の時はですか」
「あえてですね」
「こうした料理ではなく」
「携帯食ですか」
「そして将兵達と同じものを食されますか」
 シェフ達はシャイターンにそのことを確認した。
「普段とは違い」
「そうされますか」
「私は自分の姿勢は崩さない」
 スタイル、それはというのだ。
「常に贅沢を楽しむ、しかし贅沢を楽しむいやうつつを抜かしてだ」
「敗れるならですか」
「それならばですか」
「本末転倒である」
「そう言われますか」
「その通りだ、贅沢は楽しむものであるがだ」
 それでもというのだ。
「それで敗れるなぞ愚の骨頂だ」
「だからですか」
「次の戦闘の時もですか」
「携帯食、戦闘時の食事ですか」
「それをご自身の座で食されますか」
「ワインもいい」
 常に飲んでいるこれもというのだ。
「水や普通の飲みものでだ」
「宜しいですか」
「では特別に煎れたコーヒーもですね」
「こちらもですね」
「いい」
 いらないというのだ。
「普通のインスタントコーヒーでもな」
「携帯用のですか」
「そちらでも構わないですか」
「ご自身の座で飲まれ」
「そのまま采配を執られますか」
「私は確かに馳走も他の贅沢も好きだ」
 そのどれもがというのだ、シャイターンにとってはそのどれもが趣味であり常に楽しんでいるものである。 
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