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星河の覇皇

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第七十六部第二章 戦闘開始その十七

「そうなりました」
「そうか、このアリーにしてもな」
「直撃こそないですが」
「至近弾やビームが多くな」
「ダメージは受けている」
 その至近での攻撃によってだ。
「そうした状況です」
「総旗艦ですらそうだ」
「他の艦艇もです」
「損害が多くて当然だな」
「撃沈された艦もです」 
 そうした艦もというのだ。
「多いです」
「そうだな、そして大破や中破もだな」
「かなりのものであり」
「人員もか」
「戦傷者も戦死者もです」
「多いか」
「艦艇人員共です」
 その損害はというのだ。
「撃沈や戦死も多く」
「合わせて五割以上か」
「遂にその域に達しました」
「こんなことはおそらくサハラの長い戦乱の歴史でもはじめてだな」 
 アッディーンは艦橋の司令の席において言った。
「損害が双方五割を超えるなぞな」
「まずなかったですね」
「確かに」
「一方的な勝利でもここまでは」
「なかったです」
「私はこれまで勝ってきた、だが敵も五割を失うまでの戦闘はしない」
 それまでに撤退する、それが戦争の常道だ。
「ここまではな、しかしな」
「今は違いますね」
「この戦いは」
「その常道が通じない」
「そうした戦争ですね」
「覚悟はしていた」
 ここまでの戦争になることはだ、アッディーンも。最前線にあるアリーの周囲は敵の攻撃が終始ある。
「だがな」
「それでもですね」
「いざ実際に戦闘になると」
「こうして見ますと」
「恐ろしいものがありますね」
「全くだ、シャイターン主席もそう思っているだろうか」 
 モニターに映るシャハラザードを見ての言葉だ。
「ティムール軍の損害もかなりだ」
「やはり損害は五割を超えています」
「戦闘も三日目に入っています」
「そう思いますと」
「我々と同じ気持ちでしょうか」
「そうかもな、しかも隙がない」
 ティムール軍、ひいてはシャイターンの采配にだ。
「だからだ」
「ここで、ですね」
「あれを使うことも出来ませんね」
「若しここで使いますと」
「気付かれてですね」
「すぐに対処されますね」
「シャイターン主席は侮れない」
 それも決してだ。
「だからですね」
「あれはまだですね」
「使わないですね」
「焦るとだ」
 そこからというのだ。
「シャイターン主席は気付いてな」
「そしてそのうえで」
「瞬時にだが確実にだ」
 そのうえでというのだ。 
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