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星河の覇皇

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第七十六部第二章 戦闘開始その十三

「我が分艦隊、そして艦隊だけでなく」
「全参加戦力のか」
「損害が四割を超えました」
「凄まじいな」
「はい、しかしです」
「戦闘はまだだな」
「続くかと」
 こう分艦隊司令に言った。
「この調子では」
「こうした戦闘になることは予想していたが」
「それでもですね」
「実際になるとな」
「恐ろしいですね」
「全くだ」
 こう幕僚に言った。
「この状況はな」
「四割を超える損害なぞ」
「そうはない」
「戦史においても」
「その前にだ」
 大体三割でだ。
「戦いは終わる」
「それが普通ですね」
「三割で全滅だ」
 戦闘ではそう考えられている。
「それで四割なぞな」
「そうはありません、しかもです」
「まだ戦闘が行われるなぞな」
「サハラの歴史でもそうはありませんでした」
「戦史においてはあったな」
 ここでこう言った分艦隊司令だった。
「確かな」
「それはどの戦争でしょうか」
「日本の戦国時代の戦いだが」
「日本のですか」
「川中島の戦いだ」
 この戦いにおいてはというのだ。
「五度行われたが四度目でだ」
「川中島といいますと」
「大佐も知っているな」
「武田信玄と上杉謙信でしたね」
 幕僚もここで思い出した。
「確か」
「そうだ、二人のスルタンいや」
「戦国大名でしたね」
「彼等が戦った」
 信濃の北にある川中島でだ、戦国時代を代表する戦国大名二人が正面から衝突した戦いである。その四度目での戦いでだったのだ。
「上杉謙信が武田信玄の挟撃を見抜いてな」
「啄木鳥の戦法でしたね」
「それで来ると見抜いてだ」
「山を下りましたね」
 妻女山、この山をだ。
「武田信玄の本陣に一気に迫り」
「そうして戦った戦いだ」
「挟撃を仕掛けた武田軍の別動隊も戻り」
「そのうえでさらに激しい戦闘になりだ」
「両軍の損害はそれぞれ七割を超えた」
「そうした戦いだった」
 武田は信玄の弟武田信繁、軍師の山本勘助を失い上杉家も多くの兵を失った。そうしたあまりにも壮絶な死闘だった。
「今の戦いは双方最初からぶつかっているが」
「その川中島の様にですね」
「恐ろしい損害が出ている」
 双方にだ。
「そうした戦いだな」
「名将同士が戦うとですね」
「こうなるのだろうな」
「若し一方が劣っていれば」
 ここで幕僚は言った。
「そうであれば」
「こうはならない」
「そうですね、一方が負けてです」
 それも相当にだ。 
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