星河の覇皇
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第七十六部第二章 戦闘開始その十二
「休憩は必ず摂っておけ」
「酸素タンクに入り」
「そうしてですね」
「休養も摂り」
「そして戦っていくべきですね」
「疲労を極めて戦えるものではない」
それは無理だということは言うまでもない、名将としても知られるシャイターンならば尚更である。
「いいな、時間になればだ」
「休養を摂り」
「そしてまた戦う」
「そうしていくべきですね」
「私も同じだ、アッディーン大統領が休んでいる時はわかる」
まさにその時はというのだ。
「采配が違うからな」
「その時はですね」
「アッディーン大統領が休養に入り采配を執っておられない時は」
「わかりますか」
「明らかに落ちるからな」
その采配の質がとだ、シャイターンは幕僚達に述べた。彼等もそれぞれの場でティムール軍の携帯食を食べている。
「だからだ、その時こそだ」
「閣下もですか」
「休養を摂られる」
「そうされているのですね」
「この時に攻めるべきかも知れないが」
ティムール軍にしてみればというのだ。
「しかしだ」
「その時はですね」
「閣下もですね」
「疲労の極みにある」
「だからですね」
「休む、それが攻め時でもな」
それがわかっているがというのだ。
「私も休む、いや」
「その時でないとですね」
「アッディーン大統領が休養している時でないと」
「閣下は休めない」
「そうなのですね」
「私が休めば隙が出来る」
ティムール軍にというのだ。
「そしてその隙をだ」
「アッディーン大統領は見逃さない」
「必ず攻めて来るからですね」
「閣下が休まれるのはその時」
「アッディーン大統領が休まれる時ですね」
「その時しかない、だから私はだ」
パンをやはり携帯食であるワインで流し込んで言った。
「その時に休む」
「オムダーマン軍の采配が変わる、ですね」
「まさにその時にですね」
「休まれてそうして」
「また戦われますね」
「そうする、では今はだ」
ワインをもう一口飲んでからの言葉だ。
「戦うぞ」
「はい、では」
「このままですね」
「食事も摂りつつ」
「そうして」
「損害がどれだけ出てもだ」
既に二十パーセントを超えているがというのだ。
「戦闘は続ける、正面からぶつかり続けるぞ」
「そうしてですね」
「このまま戦い」
「そのうえで」
「最後は私が勝つ」
采配は執り続けていた、そのうえで戦闘を見ていた。シャイターンもまたそうして戦闘を続けていた。
両軍の激突は二日経ち三日経っても続いていた、その間双方の損害は戦争の常識を超えるまでになっていた。
「四割か」
「はい、もうです」
オムダーマン軍の分艦隊司令の一人に分艦隊の幕僚が伝えていた。
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