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星河の覇皇

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第七十六部第二章 戦闘開始その十一

「だからですね」
「大統領もですね」
「携帯食を召し上がられている」
「それも指揮を執りつつ」
「戦闘中は総員持ち場を離れられない」
 特に今の様な激戦の時はというのだ。
「それならばだ」
「今の様にですね」
「この様にして食事を摂られ」
「そうしてですね」
「その様にですね」
「戦う」
 食べつつというのだ。
「そうする、少なくともこの戦闘の間はだ」
「食事はですね」
「一日に三度のそれは」
「軍の携帯食ですね」
「それを召し上がられますね」
「そうする、将兵達と同じくな」
 大統領室にも食堂にも行く余裕はない、そこに席を外している間にも戦闘は行われているからである。
「この様にして食をしつつだ」
「戦う」
「そうしてですね」
「最後までいる」
「戦闘の間は」
「そうする、私もまた戦場にいるのだ」
 それならばというのだ。
「将兵達と同じものを食べて戦うぞ」
「わかりました、では我々もです」
「司令と共にです」
「食しそうしてです」
「戦います」
 幕僚達もこう言い携帯食を食べる、連合軍の携帯食を見てそれを参考にして改良したそれ等をだ。それぞれの場で食しつつ戦っていた。
 それはシャイターンも同じだった、普段は美食を楽しんでいる彼も今はティムール軍の携帯食を食べている、従兵達がその彼に問うた。
「あの、そのお食事で宜しいのですか?」
「何でしたら普段のお料理を出しますか」
「そうさせて頂きますが」
「そしてここに持って来ますが」
「いい、今はこれが私の美食だ」
 携帯食の中の羊の燻製を食べつつ答えたシャイターンだった。
「だからだ」
「それで宜しいのですか」
「携帯食で」
「今はそれで、ですね」
「宜しいのですね」
「そうだ、構わない」
 こう言って今度は固いパン、乾パンを食べる。
「実に美味い、それにだ」
「それに?」
「それにといいますと」
「私は確かに美食が好きだ」
 こちらの贅沢もというのだ、シャイターンの贅沢は食事にも向けられていてそれも常に楽しんでいるのである。
「だが溺れてはいない、常になければないかというと」
「違いますか」
「だからですか」
「今もですか」
「携帯食でいい」
「それが美食になるのですね」
「そうだ」
 己の座に座り采配を執りつつの言葉だ。
「だからこのままでだ」
「戦われてですね」
「食事も摂られていきますか」
「そうだ、指揮は止めない」
 戦闘が行われている限りというのだ。
「決してな、このまま戦う」
「わかりました」
「それでは我々もです」
「引き続きここにいます」
「閣下と共に」
「今は総員戦闘配置だが」
 それでもとも話すシャイターンだった。 
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