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星河の覇皇

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第七十六部第二章 戦闘開始その十

「その時は任せろ」
「総員退艦になろうともですか」
「既に二度経験している」
 撃沈されての退艦、それはというのだ。
「少尉だった時、そして中佐だった時にだ」
「それぞれですか」
「一度は駆逐艦の通信士だった」 
 その時の乗艦が撃沈されたというのだ。
「そして二度目だが」
「中佐の時にですね」
「その時は巡洋艦、軽巡の艦長だったが」
「その時もですか」
「ハサン軍との戦闘でな」
 まさにその時にというのだ。
「敵艦隊のビームを受けてな」
「撃沈されてですか」
「そして退いた、自身が艦長の時も沈められた」
 苦い思い出だ、だがそれでもというのだ。
「いい経験だ、その経験があるからだ」
「撃沈されてもですね」
「安心しろ、その時に生きている者は全て退艦させる」
 必ずという返事だった。
「死んだ者も屍を持って行ってやる」
「そうしてですね」
「戦場を離脱する、任せろ」
 こう言いつつ乗艦の指揮を執っていく、敵戦艦の主砲のビームが至近を通過したがそれをものともせずだ。
 戦艦は進む、これは両軍の全ての艦がだった。
 損害を受けるかエネルギーや弾薬が尽きない限り戦い続けている、戦いは三日に及んでいたがまだ続いていた。 
 アッディーンもシャイターンも自ら陣頭に立ち采配を執る、彼等は直接戦っていないがそれでもだった。
 果敢に戦い続けている、そうした中で疲労も溜まるが。
 アッディーンはアリーの艦橋において采配を執り続けていた、そうしてその場で食事を摂り言った。
「今はこれでいい」
「艦橋においてですね」
「食事と摂られることで」
「そのうえで采配を執られる」
「そうされてですね」
「そうだ、いい」
 まさにというのだ。
「充分だ、今はな」
「食べられればいい、ですか」
「そうした状況ですか」
「そうも言われますか」
「そうだ、若し倒れようともだ」
 この場合は戦闘の傷からではなく疲労からだ。
「私は再び起き上がりだ」
「そうしてですね」
「また戦われる」
「そうされますね」
「死ぬまでな、だから食事もだ」
 これもというのだ。
「ここでいい」
「艦橋で」
「携帯食で、ですね」
「それで、ですね」
「食べなければどうしようもないが」
 立ったままパンを食べている、そのうえでの言葉だ。
「その食事もだ」
「この様にですね」
「采配を執りつつですね」
「携帯食ですね」
「今は」
「それで構わない、若し食べる時に何かあれば」
 敵が攻めてくればだ。
「どうしようもないな」
「はい、まさに」
「そうなってしまえばです」
「まさに敗北です」
「現実問題として」
 幕僚達も答えた、食事中に攻撃を受けて敗れた事例は戦史上枚挙に暇がない、これは銀河の時代でも同じだ。 
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