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星河の覇皇

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第七十六部第一章 動きはじめる両軍その三十九

「実用まではだ」
「まだまだ先ですね」
「予算的にな。どうしようもない」
「左様ですか」
「何時になるかわからない位だ」
「何十年先かも知れないですね」
「そこまで先だ」
 現実問題としてそうだとだ、モンサルヴァートはタンホイザーに対して強い顔と声で答えた。それが事実だからだ。
「まだコロニーレーザーは転用が出来るな」
「防衛用のものをですね」
「アッディーン大統領がそうしていた様にな」
「だから私もその時は」
「そうしてもらう、いいな」
「はい、あるもので戦う」 
 タンホイザーも真剣な面持ちで答える。
「それが戦争ですから」
「そういうことだ、では頼む」
「有事の際は」
「まず連合との戦争はこれから百年はない」
「そしてさらに百年先も」
「あの国は我々に対して厳重過ぎるまでの護りを置いた」
 アタチュルク要塞群、マラッカ回廊の中継要塞、そしてガンタース要塞群という三重のそれをである。
「非武装地帯まで置かせてな」
「そこまでしたので」
「我々はとても攻められない」
「五百個艦隊を使ってもです」
 つまりエウロパ軍の全軍である。
「到底です」
「あの防衛ラインは突破出来ない」
「そうですね」
「そして連合はマウリアやサハラにも守りを固めている」
「それぞれの国境に厳重な防衛ラインを敷きましたね」
「そうした、そしてそのうえでだ」
 各国への備えを万全にしたうえでだ。
「彼等は経済活動に邁進する」
「そのことに専念するので」
「彼等から攻めることもない、元々侵略には興味がない国だしな」
「だから我々と彼等はですね」
「何百年も戦争はない、だから現実にはな」
「戦争の心配もなく」
「我々は新兵器の開発も出来る」
「国力が発展し軍事費も増加していきますね」
 タンホイザーもあえて言った。
「そしてそうなれば」
「攻撃用コロニーレーザーも開発出来る」
「彼等もさらなる巨艦を建造するでしょうが」
「あの国はそうしてくるな」
「はい、間違いなく」
「あの国は元々艦艇が大きい」
「しかもその艦艇の設計思想を見ますと」
 それはというと。
「指揮する艦艇を置いてです」
「それは大型でな」
「あの様に巨大です」
 何故巨大かというと艦隊や軍全体を的確に指揮出来るだけの通信等の機器を置くからである。そして巨大な主砲等で敵に敵の射程外からの攻撃も行う為である。
「そうした思想なので」
「まだ建造していくな」
「そうかと、ただ」
「それは変わるかも知れないな」
「変わるとです」
 その時はというと。
「我々も対抗する戦術を変えますので」
「また別のものが必要になるな」
「そうなります、その時はその時です」
 臨機応変、それだというのだ。
「まさに」
「その通りだな、しかし今はな」
「はい、あの巨艦達に対するには」
「コロニーレーザーだな」
「それしかありません」
 エウロパ軍ではというのだ。 
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