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星河の覇皇

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第七十六部第一章 動きはじめる両軍その三十七

「もうそれでだ」
「沈みますね」
「どんな要塞も沈んだ」
「コロニー落としで」
「その一撃でな」
「だからサハラでは時折行われました」
 尚コロニーが必要な戦術であることは言うまでもない、コロニーがなくまたコロニーを破壊されればこの戦術は失敗する。
「そしてです」
「我々もか」
「あの巨艦達には使いましょう」
「そして沈めるか」
「そう考えています、無論コロニーを破壊されては意味がないですが」
「それでもな」
「あの巨艦を沈めるには」
 そう思うならばというのだ。
「それしかないかと」
「そうだな、私も考えたがだ」
 モンサルヴァートはタンホイザーに戦術家として述べた。
「あの巨艦達にはな」
「普通に艦隊で攻撃しては」
「掠り傷さえ負わせられない」
「実際にエウロパ戦役ではそうでした」
「だからだな」
「はい、ここはです」
 タンホイザーはまた言った。
「発想を変えて」
「コロニーレーザー、そしてコロニー落としか」
「アッディーン大統領の様に」
「そうして攻めていくか」
「そうしましょう」
「わかった、ではだ」
「このことはですね」
「許可する」
 戦術として採用するというのだ。
「訓練にも取り入れていこう」
「それでは」
「ただしだ、この訓練を連合軍に気付かれるとな」
「そうなってしまえば」
「彼等も対処してくる」
「はい、彼等も愚かではありません」
 タンホイザーも連合は嫌いであり偏見を持っていないとなれば嘘になる、だがその力は的確に評価しているのだ。
「ですから我々が下手に訓練をしていれば」
「それを見て気付くな」
「そして対策を講じてきます」
「だからだな」
「気付かれない様にしていかねばなりません」
「では普通にだな」
「コロニー落としの訓練をしてです」
「コロニーレーザーを発射するな」
 モンサルヴァートも言った。
「そうした訓練にしてだ」
「その訓練をしていきましょう
「敵に見せる訓練とそうでない訓練がある」
「そしてこの訓練はです」
「見せない訓練だ」
「そうです」
 それでというのだ。
「我々はこの訓練はしましても」
「連合に気付かせない様にしていこう」
「是非」
「それではその訓練はだ」
「宇宙艦隊にですね」
「任せる」
 このこともというのだ。
「頼んだぞ」
「それでは」
「あの巨艦達を沈められないならな」
「連合軍を止められません」
「実際に止められなかった」
 モンサルヴァートはエウロパ戦役で彼等エウロパ軍が味わった苦い経験を思い出していた、ティアマト級巨大戦艦の攻撃の前に為す術もなかったそれを。 
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