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星河の覇皇

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第七十六部第一章 動きはじめる両軍その三十三

「不可能だ」
「左様ですね」
「人口で連合を凌駕することは」
「何百年単位でも」
「どうしても」
「人口は容易に減らないものだ」
 これは古来からだ、中国や欧州で戦乱で人口がそれこそ半分以下に減ったとあるがこれは人口統計上でのことで戸籍が崩壊しているだけのことだ。実際の人口はそこまで減るものではないのだ。
「戦乱以上に減るのはペスト等だがな」
「悪質な疫病もですね」
「この時代ではありませんし」
 すぐにワクチンが開発されるからだ、医学の進歩で。
「それにペストにしましても」
「三分の一が死んだとありますが」
「半分には至っていません」
 人類史上最も恐ろしい流行だった欧州のペスト流行でもだ。
「あれが最大ですし」
「それ以上になりますと」
「とてもです」
「有り得ないですね」
「そして今話に出た様に現代ではな」
 この時代ではというのだ。
「医学が極めて発達している」
「特に連合では」
「医学も我々より遥かに進んでいます」
「そう考えますと」
「宇宙の時代で疫病も精々一つの惑星に留まりやすいですし」
「そこから流行するなぞ」
「まずないです」
「そうだ、人類はさらに減りにくくなった」
 かつて疫病が猛威を振るっていた時代と比べてだ。
「それもかなりな」
「子供が死ぬこともなくなりました」
「かつて子供はすぐに死にました」
「それこそ半分は麻疹で死んでいました」
「そうしたこともなくなりました」
「人は掛け算で増えると言われている」
 そして食料は足し算だとだ、だから食糧問題が起きると言われていたのだ。ただこれも学説の一つに過ぎない。
「実際連合はその勢いで増えている」
「百年で二倍ずつでしたし」
「今はそれが三倍ですね」
「少子化も様々な多産奨励政策でなくなりましたし」
「その政策をさらに進めているので」
「連合は増える、我々もこれからは増えるが」
 伝統的な人口抑制政策を転換してだ、エウロパは領土が狭いので常にそうして人口問題を抑制してきたのだ。
「幾ら増えてもな」
「四十倍の人口差があり」
「しかも増え続けている国です」
「我々が増えても」
「それでもですね」
「容易には追いつけない、各家庭が十人の子供を持つ」
 こう例えたモンサルヴァートだった。
「それが何世代もとなると相当だな」
「人口はかなり増えます」
「まさに掛け算で」
「ですが十人の子供はです」
「流石に」
「まず無理だ」
 モンサルヴァートもこう言う。
「結構以上に子沢山だ」
「連合でもそうはないですね」
「それだけの子供がいる家庭は」
「六人七人はいますが」
「十人ともなりますと」
「何でも天理教の家庭は子供が多いらしいがな」
 日本で生まれた連合のこの宗教ではというのだ。 
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