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星河の覇皇

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第七十六部第一章 動きはじめる両軍その二十四

「勝つのは容易ではない」
「やはりそうですね」
「何度も戦いそのうえで隙を見出しな」
 アッディーンのそれをというのだ。
「勝つ、いいな」
「わかりました、それでは」
「私が率いてそうして勝つ」
 シャイターンは断言した。
「アッディーン大統領を破りそれからだ」
「一気に攻勢に移りますか」
「アッディーン大統領以外の者は私の敵ではない」
 絶対の自信を以てだ、シャイターンはまた言い切った。
「どういった者でもな」
「あの方以外は」
「この世においてですか」
「私に勝てる者はいない、負けない者はエウロパに二人いるがな」
 モンサルヴァート、そしてタンホイザーだ。この二人はシャイターンも認める天才戦術家なのである。
「サハラには一人だ」
「そのアッディーン大統領dだけですね」
「あの方を破れば」
「それで勝つ、オムダーマン軍の数は多いが」
 しかしというのだ。
「アッディーン大統領だけが私の敵だ」
「そのアッディーン大統領さえ破れば」
「そうすればですね」
「もう敵はいない」
「まさにすぐにですね」
「バグダートまで進めますね」
「勝つのは私だ、人間は完璧ではない」
 シャイターンはこうも言った。
「如何にアッディーン大統領でもだ」
「隙は出来る」
「そしてその時にですね」
「攻めてそうして勝つ」
「それが兄上のお考えですね」
「そうだ、私も隙を見せるつもりはない」
 対するシャイターンもというのだ。
「そしてアッディーン大統領が好きを見せれば」
「その時にですね」
「果敢に攻め」
「そうして勝つ」
「その様にお考えですね」
「隙を見せた方が敗れる、若しくは先にどちらかがいなくなった方が敗れる」
 その場合もというのだ。
「どちらかがな」
「だからですね」
「お互いでbうつかるのですね」
「そして競う」
「その覇を」
「それがこの戦争だ、思えばこうした戦いはこれまでなかった筈だ」
 シャイターンは人類の歴史を振り返ったうえで言った。
「両雄が最初からぶつかり合いそれが勝敗を決める様なものはな」
「サハラの歴史でも他の地域の歴史でも」
「一度もですね」
「しかもそれが国家元首同士というのは」
「なかったですね」
「その筈だ、その資質が拮抗しているのもな」
 まさにというのだ。
「ない筈だ、だが必ずだ」
「この戦いにですね」
「兄上は勝たれる」
「常に戦場に立たれ」
「そうなられますね」
「そのつもりだ、アッラーの下に統一されるサハラはだ」
 その国はというと。
「私は治めるのだ」
「それでは」
「今より戦いに入りましょう」
「オムダーマン軍が来ました」
「それでは」
「全軍攻撃用意に入れ」
 シャイターンは己の席から命令を下した。
「そしてそのうえでだ」
「攻撃命令と共に」
「さらにですね」
「総攻撃に入る」
 こう言って実際にだった、シャイターンは総攻撃に入ろうとしていた。それはアッディーンもだった。
 オムダーマン軍とティムール軍が互いに宣戦布告を行った時にモンサルヴァートはオリンポスにいた、そこでだった。
 彼は技術部の高官達に説明を受けていた、彼等はこうモンサルヴァートに話していた。 
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