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星河の覇皇

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第七十六部第一章 動きはじめる両軍その二十三

「気のせいか」
「私は何も感じませんが」
「私もです」
「レーダーにも反応はないですが」
「特に」
「そうか、なら違うな」
 シャイターンも弟達に言われて思いなおした。
「私の気のせいか」
「補給艦隊の後方ですか」
「しかも下の方ですね」
「別にこれといってです」
「調べても異常はないです」
 レーダーはおろかモニターに一切異変はないというのだ。
「どの偵察艇からも報告はありません」
「新型の偵察艇を投入していますが」
「何でしたらもう一度調べてみますか」
「補給艦隊の方を」
「そうされますか」
「そうしてみる」
 念には念を入れてだとだ、シャイターンは弟達に答えた。そうして実際にそこに偵察艇を何隻か送ってみた。無論アッディーンが率いる主力艦隊およそ三十個艦隊軍にして数個軍が主であるが。尚ティムール軍も同じだけの数だ。
 その三十個艦隊の擁する偵察艇のうち五パーセント程度をあえて送ってみた、だがそうしてもだった。
 やはり反応はなくだ、シャイターンは言った。
「私の気のせいか」
「そうかと」
「ここまで反応がありませんと」
「やはりです」
「そうではと思うのですが」
「そうだな、こうしたこともあるか」
 思いなおして言うのだった。
「私でもな」
「はい、しかし補給艦隊ですが」
 フラームがアッディーンに言ってきた。
「調べてみますとです」
「かなりの規模だな」
「補給艦だけでなく工作艦や病院船も多いです」
「損害や負傷に備えてだな」
 何故そうした艦艇が多いかだ、アッディーンはすぐに察して言った。
「これは」
「やはりそうですね」
「損害を最低限に抑える為だ」
 戦争を行えばどうしても犠牲及び損害が出る、だがアッディーンはそれを最低限に抑えようと考えているのだ。シャイターンもそのことを見抜いたのだ。
「その為のものだ」
「戦力では優勢に立っていてもですね」
 オムダーマンの方がとだ、フラームも兄に言った。
「それに奢らずに」
「そうだ、そうしたものまで備えてだ」
「万全の状況を整えそのうえで」
「我々と戦うつもりだ」
「それがオムダーマン、アッディーン大統領の考えですか」
「我々も用意はした」
 ティムールにしてもだ、工作艦や病院船の数はかなり増やしたのだ。これまでよりも二割は増やしている。
「しかしオムダーマンはそれ以上だ」
「その我々以上ですね」
「相当に増やしているな」
「共に連合軍の影響だと思われますが」
 この軍隊はとかく後方の艦艇が充実していた、その充実している後方の艦艇もエウロパ戦役での勝利を支えたのだ。
「しかしですね」
「彼等は我々以上にだ」
「そうした艦艇を用意していた」
「そうして粘り強く戦うつもりだ」
「修理と治療を充実させて」
「戦死、損害を最低限にさせてな」
 その様にして、というのだ。
「戦っていくつもりだ」
「そして我々に勝つ」
 アブーも言ってきた。
「その様に考えていますか」
「間違いなくな、これはかなり手強い」 
 そうした後方の艦艇の充実からも言った言葉だ。 
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