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星河の覇皇

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第七十六部第一章 動きはじめる両軍その二十二

「それからはだ」
「一気にですね」
「攻められますね」
「サマルカンドまで」
「それが出来るからだ」 
 ティムールの防衛ラインが強固であろうともアッディーンから見れば一重だからだというのだ。
「あの防衛ラインを突破するとな」
「それからですね」
「サマルカンドまで進める」
「ティムール軍は国境にその防衛力を集中させている」
「だからそこを突破すればですね」
「確かにティムール軍の防衛ラインは堅固だ」
 アッディーンにしても即座の攻撃を行わないことを決断させ全軍にそれを厳しく命じるまでにである。
「しかしその国力を集中させて築いたものだ」
「だからですね」
「その防衛ラインを破れば」
「後はない」
「ティムールに確かな守りは存在しないですね」
「サマルカンドにはあるがだ」
 防衛ライン、それがだ。
「しかし国境に集中させているのは事実だ。
「だからですね」
「その防衛ラインを突破すれば」
「それで、ですね」
「オムダーマン軍の勝利に大きく傾く」
「サマルカンドに一気に迫れますね」
「そうなれる、そしてその鍵がだ」
 オムダーマン軍の勝利、それのだ。
「まさにだ」
「あの艦ですね」
「ここぞという時に使う」
「そうしたものですね」
「まだにな、だからこそ今は連れて来ていないのだ」
 アッディーンの返事は確かなものだった。
「ここで使うものではないからな」
「だから艦隊には置いていないですね」
「後方の補給艦隊のさらに後ろですね」
「そこに置いていますね」
「確かに使う機会はないだろう、だがそれでもあればな」
 その使う機会がだ」
「動かす、そしてだ」
「勝敗を決する」
「そうされますね」
「是非な、では戦場に行く」
 シャイターンと戦うそれにだ、アッディーンは自身が直接率いる精鋭艦隊と共にシャイターンの前に現れた。
 シャイターンも同じだった、彼もだ。
 ティムール軍の精鋭艦隊を率いてそうして国境に出た、そうしてオムダーマン側にアッディーンが率いる軍勢を見た。
 その軍勢を見てだ、シャイターンは司令の席から強い声で言った。
「来たか、ではだ」
「これからですね」
「全軍を以て」
「攻撃に入る、それに入るがだ」
 それと共にとだ、アブートフラームに言った。
「オムダーマン軍も攻めて来る」
「だからですね」
「お互いぶつかり合う」
「そうした戦いになる」
「そのことは覚悟することですね」
「若し攻撃の手を緩めるとだ」
 その時はというのだ。
「それで敗れる」
「そうなりますね」
「我々が」
「そうだ、それとだが」
 ここでだ、シャイターンはモニターに映るオムダーマン軍を見て言った、艦橋のモニターにははっきりと映っている。
「オムダーマン軍の後方の動きだが」
「?それが何か」
「何かありますか」
「気のせいか」
 怪訝な顔でやはりモニターに映る二人の弟達に話した。
「補給艦隊の後ろ、下の方にな」
「何かを感じられますか」
「そこに」
「伏兵がいる様な気がしたが」
 こう言うのだった、そこを見て。 
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