| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

おぢばにおかえり

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十話 朝早くからその二十五

「僕は」
「そうだったの」
「はい、どうも」
「私はそうは思わないけれど」
 それでもとです、私は阿波野君に答えて言いました。
「それでも私でよかったら」
「先輩ならですか」
「何時でもお話して」
 こう言ってきました。
「そうしてね」
「そうしていいですか」
「私はいいから」
「そうですか、悪いですね」
「悪くないわよ、というかそこでは遠慮するのね」
 阿波野君のその態度にこう返しました。
「普段は馴れ馴れしいのに」
「ですから女の子とお話するの苦手なんですよ」
「そうなの?」
「はい、どうも」
「そのことが信じられないのよね」
「勇気出してお話してるんですよ」
「私にもなの?」
 その割には随分と馴れ馴れしいと心から思いますが。
「そうなの?」
「そうですよ、これでも」
「それが本当にわからないけれど」
「そうですか?とにかくですよ」
「女の子とお話するの苦手なのね」
「そうなんです、それで」
 阿波野君は私にあらためて言ってきました。
「先輩のそのお話有り難く思います、じゃあ」
「これからなのね」
「何かとお話させてもらいますね」
「ええ、本当に私でよかったらね」
 また阿波野君に言いました。
「何でもお話してね」
「あの、本当にいいんですよね」
 阿波野君はここで真剣なお顔になって聞いてきました。
「先輩に何でも」
「ええ、何時でもね」
「そうですか」
「少し図々しく思うけれど」
 このことは事実でもです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧