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おぢばにおかえり

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第六十話 朝早くからその二十四

「中々、なんです」
「今も必死かしら」
「必死も必死です」
「何が必死なの?」
 横から聞いて全くわからないので私は阿波野君に尋ねました。
「一体」
「そうしたことは聞かないの」
 お母さんが言ってきました。
「いいわね」
「どうしてなの?」
「いいから。千里は阿波野君を案内しなさいね」
「そうすればいいのね」
「そう、いいわね」
「どうも訳がわからないけれど」
「今はわからなくていいから」
 随分と強引に言ってきました。
「行ってらっしゃい」
「ええ、そう言うなら」
 どうも訳がわからないままです、私は頷いてでした。 そうして阿波野君を連れてお家を出ました。そうしてです。
 阿波野君と一緒に八条町を歩きだしましたが。
「いい?」
「何がですか?」
「何かお母さんが言ってたけれど」
「僕が必死だってことですか」
「何が必死なの?」 
 阿波野君に横から尋ねました。
「一体」
「本当に凄く必死ですよ、僕」
「だから何に必死なの?」
 阿波野君の横顔を見たまま尋ねます、見ればそんなに悪くない感じです。結構整っていると言えるでしょうか。
「それがわからないけれど」
「女の子とお話することでしょうか」
「今普通に話してるじゃない、私と」
「そうですけれどね」
「女の子とお話すること苦手なの」
「実はそうなんです」
 こう私に答えました。 
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