星河の覇皇
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第七十六部第一章 動きはじめる両軍その九
「大卒だったら二年らしいな」
「それで、ですか」
「部内士官の試験を受けさせられてな」
このことは決まりはないがほぼ義務的に受けさせられる様になっているのだ、連合軍は士官の確保にも苦労しているのだ。兵士達だけでなく。
「なってな」
「大佐までですか」
「なるんだよ」
「凄いですね」
「ちなみに大卒だと中将までらしいな」
「中将ですか」
「流石に大将は難しいらしいがな」
軍隊では同じ将官でも階級によって差が大きいのだ、大将と中将ではその権限等の差が非常に大きいのだ。だから大将になる者は中将からぐっと少なくなるのだ。このことは他の国でも同じであるのだ。
「それでもな」
「入隊した時の課程でそこまで違うんですね」
「連合軍はな」
「その辺りサハラとは全然違いますね」
ハルークはしみじみとした口調でアブクールに言った。
「戦争がないと昇進は課程や学歴が大きくなりますか」
「そりゃ武勲がないからな」
そのせいでというのだ。
「そうなるな」
「自然とですね」
「軍隊ってのはな」
それこそという言葉だった。
「昇進はどうしてもあるだろ」
「はい、本当に」
「その昇進を決めるのはな、やっぱり武勲だろ」
「それで一兵卒からのし上がった人もいますし」
サハラの歴史ではそこから国家元首になりさらにサハラの統一を目指さんとした英雄もいた、残念ながら統一は果たせなかったが。
「本当に武勲あってですね」
「その功績で昇進するものだ」
「それがサハラですね」
「しかしだ」
それがというのだ。
「それがないとな」
「学歴とか課程がものを言いますか」
「あと勤務の内容だな」
「勤務なんてサハラでは」
「大事でもな」
「やっぱり武勲です」
それが第一だとだ、ハルークは確かな声で言った。
「こっちは」
「戦争ばかりしてきたからな」
「そんなので昇進していくんですね」
「そうなんだよ」
「何ていいますか」
考える顔になってだ、ハルークはアブクールに言った。
「国が違うと軍隊のそうしたことも違いますね」
「何もかもがな」
「そうですね、本当に」
「まあサハラもそうなるかもな」
アブクールはこれからのことも考えてそうして述べた。
「統一して平和になればな」
「課程や学歴や勤務の状況で、ですか」
「戦争がなくなるからな」
それでというのだ。
「自然とな」
「そういうので昇進していきますか」
「そうなるな、まあ平和になれば」
どうなるかとだ、アブクールはハルークにこうも話した。
「命を賭けて戦うこともないからな」
「武勲がなくなるにしても」
「軍人になっても安心出来る」
「海賊やテロリストの征伐があっても」
「戦争がないとな」
サハラで千年の間行われていない日はなかったそれがだ。
「その俺達軍人は安心出来る」
「死ぬ恐れがぐっと減るので」
「本当に嬉しい」
まさにその時はというのだ。
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