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星河の覇皇

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第七十六部第一章 動きはじめる両軍その七

「軍曹は」
「あっちの世界は好きじゃないんだよ」
「士官の世界は」
「結構以上に責任とかかかるな」
「ですね、階級の分だけ」
「それで気苦労も大きいからな」
 このことを軍隊にいて見てきているのだ、それでアブクールはこう考えていうのである。
「だからな」
「士官になることにはですか」
「興味がないんだよ」
「けれど軍曹は三十で」
「ああ、このままいくとな」
「定年までには」
「いかいや、軍曹から上級軍曹でな」
 オムダーマン軍の階級ではこうなっているのだ。
「曹長ですよね」
「曹長っていってもその上だぜ」
「先任とか上級の軍曹ですか」
「それになりたいんだよ」
 こちらの曹長だというのだ。
「俺はな」
「ああ、もう上級軍曹になったら」
「無敵だろ」
「先任下士官室で大威張りしてますね」
 艦や部隊の中でだ、とにかく先任下士官というものは軍隊の要であるそれでオムダーマン軍でもなのだ。
「そっちですか」
「正直士官より力あるだろ」
「軍隊の中では」
「そうなりたくなくてな、技量だってな」
 軍人、技術者のそれのだ。二十世紀後半以降軍隊はハイテク化と共に軍人も技術者化しているのだ。だから二年や三年で除隊される徴兵制が廃れていったのである。
「磨いていきたいしな」
「士官にはならずに」
「俺はそっちだよ」
 下士官としてというのだ。
「そうなりたいんだよ」
「そうですか、そうした人多いですね」
「軍隊はな」
「士官に行く人って案外少ないですね」
「兵隊あがりだとな」
「ですよね、皆なりたいと思っていたら」
 それがというのだ。
「案外違いますね」
「そうだな、大体士官になるのもな」
「あれですよね、士官学校や大学を出るか」
「パイロットとか下士官候補生がら入るか」
「そういうので」
「御前みたいに徴兵組とか俺みたいに一般兵士からの入隊組はな」
 そうした者達はというのだ。
「下士官になるのだってな」
「あまり、ですしね」
「俺みたいに一般で入って三十で軍曹とかな」
 そうした者はというのだ。
「案外少ないよな」
「ですね、軍曹みたいな人は」
「俺は上等兵の時に自分が撃った魚雷が敵艦沈めてな」
「その武勲で上がったんですか」
「そうなったんだよ、けれどな」
 それがというのだ。
「普通だとな」
「一般で入って三十で軍曹は」
「そうそうないさ、下士官候補生がどんどん上がってな」
 階級であることは言うまでもない。
「あっちは十八で入るとな」
「俺達みたいにですね」
「二年で伍長だ」
 下士官になるというのだ。
「それでどんどん昇進してくな」
「ですよね、候補生だと」
「大抵二十五辺りで部内の士官試験受けて合格だ」
「あれ一般だと全然合格しないって聞いてましたけれど」
「実際しないぜ、下士官候補生は元々入隊試験のレベルが丁度な」
 その難易度がというのだ。 
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