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星河の覇皇

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第七十六部第一章 動きはじめる両軍その三

「しかもな」
「美味いんですよね」
「チョコレートが甘いと余計にな」
「ですよね」
「よし、じゃあハーディン」
 アブクールここでハルークの隣にいる二等兵に言った。
「ちょっとだ」
「はい、チョコレートですね」
「御前も食うだろ」
「俺も好きです」
 ハルークより若い顔立ちの兵士はこうアブクールに答えた。
「ですから」
「じゃあたっぷり出してな」
「そしてですね」
「食え」
 そのチョコレートをというのだ。
「三人で食ってな」
「コーヒーもですね」
「御前も飲むか?」
「俺はコーヒーは」
 ハーディンはアブクールにバツの悪い顔で答えた。
「ちょっと」
「飲めないか?」
「紅茶派でして」
「じゃあその紅茶をうんと濃くしてな」
「そうしてですね」
「飲め、そうするとな」
 そのとびきりの濃い紅茶はというと。
「コーヒーと同じだけ目が覚めるからな」
「それで、ですね」
「それを飲め」
 こういうのだった。
「いいな」
「わかりました」
「とにかく今は気を張れ」 
 自分達が戦闘に入っていなくてもだ。
「いいな」
「そして警戒ですね」
「戦争になりましたから」
「そうだ、実際に戦闘配置だしな」
 まさにそうした状況だからというのだ。
「気を抜くなよ」
「このことは守って」
「そうしてですね」
「コーヒーやチョコレートを楽しみつつ」
「監視もですね」
「そうしろ」
「はい、じゃあまずはですね」
 ここでハーディンはアブクールに尋ねた。
「俺は冷蔵庫に行って」
「分隊の居住区にあるな」
 彼等から見て後ろのだ。
「そうしてだ」
「そこからチョコレート菓子を持って来るんですね」
「そうしろ、そしてな」
「紅茶とですね」
「こいつの分のコーヒーもだ」
 ハルークを指差してハーディンに話した。
「そっちも淹れてやれ」
「わかりました、上等兵はミルクは」
「入れてくれ、たっぷりな」 
 ハルークは笑ってハーディンに話した。
「あと角砂糖は四つな」
「四つですか」
「ああ、四つだ」
 それだけだというのだ。
「入れてくれ」
「多いですね」
「甘党でな」
 それでというのだ。
「それだけ入れてくれ」
「わかりました、じゃあ俺も」
「紅茶だな」
「レモンティーにして」
 そしてと言うのだった。 
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