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星河の覇皇

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第七十六部第一章 動きはじめる両軍その二

「エンジニアになって」
「それで食っていくつもりか」
「そのつもりなんです」
 実際にというのだ。
「ですからここで死ぬとか」
「願い下げだな」
「本当にですよ」
 こう言うのだった。
「ですから見張りはします」
「そうしろ、戦争になるまでな」
「そうすべきですね」
「そうだ、それとな」
「それと?」
「そう思うなら寝ない様にだ」
 アブクールはこう言いつつコーヒーを飲んだ、見れば彼は何時の間にか手にコーヒーカップを持っていた。
「コーヒーも飲め」
「あっ、それもですか」
「飲んでそうしてだ」
「眠気を覚ませ、ですね」
「これを飲むといいからな」
「眠気が一発で吹き飛びますね」
「だからな」
「コーヒーも飲んでですね」
「ぴしっとしてろ」 
 配置に就いている間はというのだ。
「わかったな」
「わかりました」
 すぐに答えたハルークだった、実際に彼もコーヒーを飲んだ。
 そのうえでアブクールにだ、こうしたことも言った。
「チョコレートも欲しいですね」
「チョコレートもか」
「はい、コーヒーを飲んでいますと」
 そちらもというのだ。
「欲しいですね」
「じゃあそっちも食え」
「食っていいんですか」
「チョコレートも目が覚める」
 だからだというのだ。
「食うとな、だから食えばいいだろ」
「それじゃあ貰いますね」
「冷蔵庫にあるのを食ってろ」
「はい、じゃあ」
「誰かに言ってな」
「俺はここを離れるなですね」
「トイレに行く時も誰かに行ってな」
 そうしてというのだ。
「離れろ」
「そうします」
「とにかくここは離れるな」
 持ち場はというのだ。
「それは守れ」
「そして見張れですね」
「それは忘れるな」
「コーヒー飲んでチョコレート食っても」
「いざって時はすぐに命令も来るからな」
 彼等の上司で指揮を執る水雷長からというのだ。
「いいな」
「気は張ることですね」
「気が張るから飲むんだしな」
「そして食うんですね」
「コーヒーもチョコレートもな」
 そのどちらもというのだ。
「俺もチョコレート食うしな」
「軍曹もですか」
「俺もコーヒーを飲むとな」
 アブクールは笑ってハルークに自分の好みのことを話した。
「チョコレートを食いたくなる」
「合いますからね」
「ああ、不思議な位にな」
 コーヒーにはチョコレートだというのだ。
「だからな」
「軍曹もチョコレートですか」
「コーヒーにはな」
「やっぱりそうなりますよね」
「目が覚めるだけじゃなくてな」
 コーヒーもチョコレートもだ。 
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