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ドリトル先生と琵琶湖の鯰

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第九幕その七

「そういうことでしたか」
「それでこちらに来ています」
「そうでしたか」
「はい、後はです」
「あの鯰だけですか」
「それがどうしても見付からなくて」
「あの鯰はいますよ」
 ビワコオオナマズはとです、河童は先生に答えました。
「この琵琶湖に」
「そうですか」
「底の方に」
「だからですね」
「水面や水辺ばかり探しても」
 それではというのです。
「見付かりません」
「やっぱりそうですね」
「はい、そこはです」
 どうしてもというのです。
「仕方ありません」
「そうですね」
「はい、ですから」
 それでというのです。
「あの鯰に水族館に来て欲しいなら」
「それならですね」
「水の底に行くか」
 若しくはとです、河童は先生にさらにお話しました。
「わし等の力を借りるか」
「河童さん達のですか」
「はい、琵琶湖はわし等の縄張りです」
「だからですか」
「魚も皆わし等の馴染みで」
 それでというのです。
「話も出来ますから」
「だからですか」
「はい、あの鯰とも話して」
「そしてですね」
「水族館に行ってもいいと言う奴を先生のところに連れて来ます」
「そうしてくれますか」
「それでどうでしょうか」
 河童は先生に笑ってお話しました。
「ここは」
「願ってもない申し出ですね」
「それでは」
「ですがそうして下さるとなると」 
 それならとです、先生はさらに言いました。
「こちらもお礼が必要ですね」
「河童へのお礼は一つです」
「胡瓜ですか」
「それさえ頂ければ」
 河童の大好物のそれをというのです。
「文句はありません」
「胡瓜だけでいいですか」
「はい、それなら」
「西瓜もどうでしょうか」
「西瓜もですか」
「西瓜もお好きかと思いますが」
 河童はというのです。
「僕としましては」
「嫌いではないというか」
「お好きですね」
「はい」 
 実際にというのです。
「胡瓜の仲間ですからね」
「西瓜はそうですね」
「形や大きさは違いますが」
 それでもというのです。
「あの匂いも味も」
「では」
「はい、そこまでして頂けるなら」
 胡瓜だけでなく西瓜までつけてくれるならというのです。 
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