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星河の覇皇

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第七十五部第五章 宣戦布告その二十七

「交通についても同じだ」
「北では便がいい場所にありますが」
「しかしですね」
「サハラ全体ではどうか」
「そう考えますと」
「あの星系はあくまで北の首都だ」
 そうでしかないというのだ。
「サハラ全体の首都足り得ない」
「どうしてもですね」
「星系の規模も小さく」
「サハラ全体の首都にはなれない」
「だからこそですね」
「遷都を行う、オムダーマンは既にだ」
 対するこの国はというと。
「もう行った」
「西のアスランからですね」
「そうしましたね」
「そのバグダート星系に」
「既に」
「この戦争にも備えてな」
 国境、つまり戦場に近くそこに最大の後方基地である首都を置いたというのだ。
「そうしてだ」
「そこからですね」
「集積させている物資を送っていますね」
「そしてそのバグダートをですね」
「我々も首都にしますね」
「そうするのだ、そしてだ」
 さらに言うシャイターンだった。
「バグダートは私の手によってだ」
「さらにですね」
「栄えますね」
「サハラの帝都として」
「そうなりますね」
「そうだ、サハラで最も人と産業が集まるのからな」
 それだけにというのだ。
「この上なく豊かになりだ」
「栄えてですね」
「繁栄する」
「地球のバグダートの様に」
「無論サハラの隅から隅まで栄えることになる」
 シャイターンはバグダートのみの繁栄で満足する男ではないし首都だけを治める器でもない、サハラ全体を富ませられる者であるからこそ言うのだ。
「しかしだ」
「そのサハラの中でもですね」
「とりわけ栄える」
「帝都として」
「そうなる、その繁栄はだ」
 何処までかというと。
「アラビアンナイトのバグダート以上だ」
「あの書にある繁栄以上ですか」
「ハールーン=アル=ラシードの時以上に」
「当時世界で最も栄えていた街でしたが」
「あのバグダート以上にですね」
「栄える、そしてだ」 
 そのうえでというのだ。
「その美しさもだ」
「あのバグダート以上ですね」
「見事な街並みと謡われましたが」
「それ以上ですね」
「イスラムは偶像崇拝はない」
 それは絶対に認めていない、寛容な宗教であるが偶像崇拝についてはユダヤ教の流れを汲みとりわけ厳格なのだ。
「それで絵画は今も発達していない」
「写真ですらですね」
「どうにもですね」
「アッラーは偶像崇拝を認めておられないので」
「それはどうしてもですね」
「しかし建築は違う」 
 そちらの芸術はというのだ。
「見事なものだな」
「はい、非常に」
「それこそアラビアンナイトの頃からです」
「模様と同じくです」
「非常に見事なものです」
「その建築でだ」
 イスラムの伝統の芸術でというのだ。
「バグダートを世界の芸術にしてみせる」
「街そのものがですね」
「非常にですね」
「サハラ第一の街として」
「そして芸術そのもとされますね」
「その繁栄と共にだ、その美しさでもだ」
 まさにそれでもというのだ。 
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