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星河の覇皇

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第七十五部第五章 宣戦布告その二十二

 同じ頃アッディーンが予想した通りにシャイターンも食事を摂っていた、その食事も彼が予想した通りだった。
 その何十品もある馳走を口にしつつだ、彼は言った。
「ではこの食事の後でだ」
「再びですね」
「執務に戻られますね」
「そのうえでだ」
 その仕事を待つ文官達に応えた。
「国境に到着すればな」
「それと同時にですね」
「宣戦布告ですね」
「舞台の用意は出来ていますし」
「その場において」
「そこに赴きだ」
 その舞台にだ。
「宣戦布告を行う」
「わかりました」
「ではです」
「その時になれば」
「いよいよ」
「その時は近いな」
 羊の肉を最高級のスパイスをかけたうえで焼いたステーキをフォークとナイフで切りつつ述べた。
「宣戦布告を行いだ」
「はい、開戦の時は」
「刻一刻と近付いていて」
「まさに」
「来ようとしている」
 このことを実感しつつの言葉だった。
「まさにな」
「そして勝った方がですね」
「サハラの皇帝となる」
「預言に従い」
「そうなりますね」
「今となってはその預言が正しいかとうかわからない」
 コーラン以前の預言だ、イスラムでは預言者はムハンマドが最高にして最後の預言者とされていて以後の預言は存在しないのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「その預言でサハラはここまで動いてきた」
「我々が宇宙に出た預言によって」
「ムハンマド以前であることは確かめられていますし」
「死海文書に匹敵する発見だった」
 キリスト教におけるそれと、というのだ。
「これがムハンマド以降ならばだ」
「確実に誰も見ませんでしたね」
「一瞥して終わりでした」
 発見した者もだ。
「イスラムの預言はコーラン以降はありません」
「ムハンマドの預言が最後です」
「ムハンマドは最高にして最後の預言者ですから」
「一日五回の礼拝の時に言っている通りに」
「そうだ、預言者はだ」 
 まさにというのだ。
「ムハンマドが最後だからな」
「それでムハンマド以降ならば」
「もうそれはイスラムの預言ではありません」
「まやかしであることが間違いない」
「だからこそ」
「それはだ」
 さらに言うシャイターンだった、羊の料理以外の料理も食べながらそのうえで次に何を食べるのかを目で選んでいる。
「もう否定されてだ」
「誰もでしたね」
「信じておらず」
「今のサハラにも影響を与えていなかった」
「そうでしたね」
「その預言書にははっきり書かれていた」
 ムハンマド以前であることは判明している預言にはだ。
「将来アラブ世界、つまりサハラを統一してだ」
「皇帝になってですね」
「そうしてこのサハラを治める」
「イスカンダルの様に戦いサハラを統一し」
「スライマーンの様に賢明に治めると」
「イスカンダルは偉大だった」
 コーランでのアレクサンドロス大王だ、コーランにおいてはこの英雄はムスリムに改宗したとされている。 
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