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星河の覇皇

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第七十五部第五章 宣戦布告その二十一

「将兵達をおろそかにしていない」
「そして国家も」
「だからいいのだ」
「そうしたことをしっかりとしているので」
「国家元首としての務めは充分に果たしている」
 実際にその通りである、シャイターンの国家運営はアッディーンに匹敵するまでに見事なもので治安は徹底され福利厚生も万全であるし失業率も極めて低い。インフラの整備は進みそうして教育も充実が進められていて裁判も公平であるのだ。善政と言っていいものだ。
「だから贅沢をしていてもだ」
「いいのですね」
「しかもその贅沢もだ」
 シャイターンが楽しんでいるそれもだ。
「国家財政に影響を及ぼしてはいない」
「そうした贅沢ではない」
「だからいいのですね」
「古の暴君達のそれとは違い」
「構わないのですね」
「かつての暴君や独裁者の贅沢は溺れるものだった」
 楽しむものではなく、というのだ。
「酒池肉林の宴や建築にな」
「そして国を傾け」
「やがて叛乱を起こされてですね」
「滅んでいった」
「そうなってきていますね」
「華麗な美食に豪奢な服に見事な宮殿」
 そうしたものでというのだ。
「あとは後宮だな」
「そうしたものの贅を極め」
「そうしてですね」
「国庫に負担をかけて国を傾け」
「国を滅ぼしてきましたね」
「そうしたことはだ」
 まさにというのだ。
「してはいないからな」
「あくまでシャイターン家の資産の中でのこと」
「そこから出てはいない」
「だからですね」
「それはいいのですね」
「そうだ、いいのだ」
 また言う彼だった。
「これまで多くの権力者が贅沢に溺れてきたが」
「シャイターン主席は違う」
「権力者としてですね」
「贅沢を楽しまれていても」
「それでもですね」
「溺れてはいない、そして節度も」
 シャイターン家の資産の範疇の中で楽しんでいるからだというのだ、そうしたことを話してそうしてだった。
「弁えているからな」
「それで、ですか」
「いいのですね」
「そうなのですね」
「そう思う、己の中で楽しむ贅沢はいい」
 それならばというのだ。
「若し溺れ国を傾けるならな」
「それならばですね」
「悪しき贅沢ですね」
「そうしたものですね」
「溺れると駄目だ、しかし溺れていないならな」
 それならというのだ。
「構わないと思う、彼もそろそろ食べようとしている筈だ」
「その馳走を」
「これからですか」
「そうだろう、私は私の食事を摂りだ」
「シャイターン主席もそうする」
「そうなっていますか」
「時間的にな、では執務室に戻る」
 こう言ってそしてだった、アッディーンは実際に執務室に戻りそうして大統領として執務にかかりその合間にクスクスと野菜を炒めたものとアラビア風の鶏のシチューを食べた。それは彼の執務室の机の上で行った。 
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