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星河の覇皇

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第七十五部第五章 宣戦布告その二十

「私も執務室で行う」
「大統領としてのお仕事がある」
「だからですか」
「軍務を行っていない時はだ」
 そして睡眠の時以外はだ。
「私は大統領だからな」
「大統領としてですね」
「執務を行われますね」
「そうだ」
 それを行うというのだ。
「これからな」
「わかりました、では」
「そちらもお励み下さい」
「そうする、そして執務室でな」
 即ち彼の部屋でというのだ。
「食事にしよう」
「閣下はよく執務の合間に食事を摂られますが」
 ガルシャースプはここでこうアッディーンに言った。
「しかしです」
「どうした」
「いえ、シャイターン主席もです」
 これから宣戦布告を行い戦うティムールの国家元首である彼もというのだ。
「同じでしょうか」
「執務の合間にか」
「食事を摂っているのでしょうか」
「そう思ったか」
「はい、国家元首は極めて多忙なので」 
 その権限が大きければ大きい程そうなる、それでアッディーンにしてもシャイターンにしてもその執務の量はかなりになっている。
「ですから」
「そうだな。やはりな」
「あの御仁もですね」
「その仕事量はかなりでだ」
「執務の合間にですね」
「食事を摂っているだろう」
 その形になっているというのだ。
「やはりな」
「そうですね」
「そうだ、しかしだ」
「それでもですか」
「あの御仁は美食家だ」
 もっと言えば贅沢を極めている人物である、彼にとって贅沢は極めて自然な常に共にあるものであるのだ。
「だからな」
「そこは閣下とは違い」
 質素で粗食なアッディーンとはだ。
「美食ですか」
「聞く限りではそうだな」
「はい、常に何十品とある馳走をテーブルに並べられ」
「水晶の杯で最高級のワインを飲むという」
「それはですね」
「私とは全く違う」
 兵達と同じものを食べている自分とはというのだ。
「私は昔からこうだった」
「そうでしたね」
「オムダーマン軍は将兵は皆同じものを食べている」
 同じ厨房で同じ食材を使い同じ調理員が作った同じ料理をだ。
「だから私もな」
「一士官であられた頃からでしたね」
「食べていたしな」
「今もだ」
「その様にされていますね」
「私はそれで充分だ」
 国家元首となった今もというのだ。
「あくまで私の好みだ」
「それでなのですね」
「そうしている、そしてだ」
 対するシャイターンはというと。
「自分で全て出していてな」
「材料費から何から何まで、ですね」
「シェフ達もお抱えだ」
「そしてキッチンもですね」
「専用のものだ、全てな」
「そうして常に見事な馳走を口にされていますね」
「そうだ、しかし自身が贅沢をしていてもだ」
 戦場でもそれを楽しんでいてもだ。 
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