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星河の覇皇

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第七十五部第五章 宣戦布告その六

「あの艦艇はな」
「だからですね」
「切り札は切るべき時に切るもの」
「ではですね」
「開戦してもすぐにカードを切らず」
「動くこと自体しませんか」
「宣戦布告をしてもまずは動かさない」
 布陣させてある艦隊はというのだ。
「様子を見てだ」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「今は動かず」
「そしてですね」
「私が言った時にだ」
 アッディーンはその目の光を強くさせて言った。
「動くのだ、あの艦もな」
「動かされますね」
「まさにその時を」
「そうされますね」
「そうして勝つ、無論私自身が行う戦いもだ」
 彼がシャイターンと戦う時もというのだ。
「いいな」
「はい、それでは」
「その時もですね」
「閣下が言われた時に使う」
「あの艦は」
「そして勝つ」
 オムダーマンがというのだ。
「そうする、国境に到達するのもな」
「あと幾許もない」
「もう間もなくですね」
「まさにタイムリミットまで僅かです」
「そうした状況です」
 幕僚達も言う。
「遂に近付いてきましたね」
「開戦の時が」
「運命の時が」
「その時が」
「いいか、気を緩めるべきではないが」
 それでもと言うアッディーンだった。
「極度の緊張もだ」
「それもですね」
「禁物ですね」
「極度の緊張は身体も精神も固くさせてしまう」
「だからこそ」
「極端に緊張せずにだ」
 例え気を張ってもというのだ。
「そうしていくことだ、獅子になるのだ」
「戦う前の獅子ですね」
「それになるべきですね」
「今の我々は」
「獅子は戦う前に気を張るが」
 即ち緊張するがというのだ、アッディーンは自分が青き獅子と言われていることから話をしているのだ。
「しかし強張らないな」
「その筋肉は柔らかいままです」
「心も同じです」
「そのうえで戦う」
「そうしていますね」
「それを同じだ、獅子の心だ」
 戦うならばというのだ。
「それを忘れないことだ」
「わかりました、では」
「確かに緊張しますが」
「獅子の様にです」
「心地よい緊張でいます」
「そしてそのうえで」
「戦います」
「私もその様にする」
 アッディーン自身もというのだ。
「むしろ私こそがだ」
「軍を率いる将の将としてですね」
「そうされますね」
「そうする、何しろ私は獅子だな」
 アッディーン自身がこう言った。 
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