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星河の覇皇

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第七十五部第五章 宣戦布告その五

「今はだな」
「はい、まだ国境には到着していません」
「シャイターン主席自ら率いる主力は」
「国境の警備は固められていますが」
「それでも」
「ならいい、我々も急いでいるが」
 しかしというのだ。
「この調子でいくとな」
「ほぼ同時ですね」
「同時に国境に着きますね」
「そして宣戦布告を行うのもですね」
「ほぼ同時ですね」
「そうなる、そして宣戦布告を行えば」
 その時からというのだ。
「即座に軍が動くが」
「しかしですね」
「それでもですね」
「軍が動くにしても」
「迂闊には動かせませんね」
「全ては私の頭の中にある」
 作戦はというのだ。
「ではその時はだ」
「はい、ではですね」
「ここはですね」
「文官である我々はですね」
「このバグダートにおいて」
「内政を頼む」
 こう高官達に言った。
「これまで通りな」
「お任せ下さい、ではです」
「閣下が戦場から帰られるまでです」
「政治は預からせて頂きます」
「首相府で出来る限りのことを行います」
「首相と共に」
「それを頼む、あと大統領府だが」
 本来彼がいるべきそちらもというのだ。
「首相が今は留守居を務めているがな」
「首相は充分に勤めておられます」
「どうしても閣下がサインしなければならないもの以外はされています」
「ですからご安心下さい」
「閣下は戦いに専念して下さい」
「そうさせてもらう、では政治は頼む」
 こう言ってだった、そのうえで。
 アッディーンはテレビ電話での彼等との話を終えてそれを切ってだった。そのうえで今度はアリーにいる幕僚達を呼んだ。
 そのうえで布陣を確かめてだ、こう言ったのだった。
「見事だな」
「はい、完璧な布陣ですね」
「今の我が軍の布陣は」
「今にも攻撃にかかれます」
「布陣している軍は」
「それが出来る、だが敵の布陣も完璧だ」
 今度は敵であるティムール軍を見て言った。
「彼等を迂闊に攻めるとだ」
「その時はですね」
「敗れるのは我々ですね」
「敵もさるものです」
「完璧な防衛ラインです」
「艦隊と要塞、機雷やコロニーレーザーが見事に配されています」
「あの防衛ラインを迂闊に攻めますと」
 そうすればというのだ。
「負けます」
「そうなりますね」
「敗れるのはこちらです」
「そうなってしまいます」
「その通りだ、あの艦を使うにもだ」
 それにもというのだ。
「いいな」
「はい、今はですね」
「迂闊には攻めない」
「あくまで相手に気付かせない」
「そのことが大事ですね」
「気付かれれば終わりだ」
 その時はというのだ。 
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