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星河の覇皇

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第七十五部第五章 宣戦布告その三

「皇帝が主権者であるがだ」
「実質は臣民が行う」
「国政は」
「選挙で議員を選びですね」
「閣僚も」
「組閣は皇帝が命じるが」
 主権者としてそうするというのだ、この辺りのことはドイツ帝国や大日本帝国を踏襲しているのだ。
「しかしだ、その組閣はだ」
「議会の決定ですね」
「それを認める」
「そうした形を取りますか」
「議会の決定は覆さないですね」
「そうしたい、私は昭和帝は敬愛しているが」 
 しかしというのだ。
「ヴィルヘルム二世はそうではない」
「むしろ否定されていますね」
「反面教師ですね」
「反面教師として接せられる」
「そうされますね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「私はな、あとは明治帝か」
「昭和帝の祖父君でしたね」
「やはり名君でありましたね」
「日本の近代化の時の君主であり」
「その基礎を固めた君主でしたね」
「この天皇も実は統治はしていなかった」 
 つまり政治は臣下の者達、伊藤博文や山形有朋達に任せていたのだ。民主政治については日本にはじめて入ってくるものであり懐疑的であられたそうではあったが認められてはいる。
「祭事を行い生活は質素でだ」
「臣民の範となる」
「そのことを意識していましたね」
「好きでない肉も口にして」
「国民に率先していたといいますね」
「英邁な君主だった」
 明治帝もまたというのだ。
「随分と厳格な教育を受けてな」
「厳格ですか」
「ではサハラの皇室もですね」
「厳格な教育をしていく」
「そして質素でもありますか」
「今の日本の皇室も見るのだ」
 その明治、昭和両帝が基礎を固められたこの時代の日本の皇室をというのだ。
「何処に贅沢がある」
「いえ、全くです」
「その皇居の小さなことといえば」
「サハラでは富豪の別荘程も大きくありません」
「造りも質素です」
「東宮も含めても」
「実に小さいものです」
 高官達も口々に言う。
「衣服も食事も質素です」
「あれが一国の君主とは」
「しかも四千年の歴史を持つ皇帝の家です」
「サハラのこれまでのどの様な君主家よりも質素です」
「それは恐ろしいまでです」
「その質素さをだ」
 さらに言うアッディーンだった。
「我々も見習うべきだ」
「だからですか」
「サハラの皇室は質素でありですか」
「その教育は厳しく」
「しかも祭事に関わり政治は出来るだけ関わらない」
「政治家達のものとしますか」
「そうする、ただ閣僚は政治家に限るかというと」
 それはというと。
「こだわるつもりはない」
「文民にこだわらない、ですね」
「現役の武官や文官も閣僚としていい」
「そうしていきますね」
「サハラは」
「これはエウロパと同じだ」
 エウロパは議院内閣制やそうしたものにはこだわっていない、総統が現役の武官及び文官を閣僚その最上位の首相に任命することもある。 
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