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ドリトル先生と琵琶湖の鯰

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第五幕その二

「そう思っています」
「そうですね、僕もです」
 先生は今度はきんぴら牛蒡を食べながら言いました。
「あのお魚はです」
「是非ですね」
「発見して」
 そうしてというのです。
「採集してです」
「水族館に連れて行きたいですね」
「そう考えています」
「そうですね、ではです」
「琵琶湖の北に行った時もですね」
「あのお魚を探しましょう」
「それでは」
 こうお話してでした、そしてです。
 皆でこの日は琵琶湖の北の方に行きました、そのうえで水質と生きものの調査をしてでした、それからです。
 動物の皆と一緒にある山に入りました、先生はその山に入って皆に言いました。
「ここが小谷城だったんだ」
「あの浅井家の」
「浅井長政さんだね」
「あの人のお城だったんだね」
「そうだよ、山全体をお城にしたかなり堅固なお城だったんだ」
 こう皆にお話しました。
「浅井長政さんも名将だったしね」
「それで織田信長さんも苦労したんだったね」
「攻めるのに」
「そうだったね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「何とか攻略したんだ、ただ」
「ただ?」
「ただっていうと」
「どうしたの?」
「織田信長さんは大軍で攻めてね」
 その小谷城をというのです。
「攻略したんだ、ただ最後の最後まで降れば許すって言っていたんだ」
「ああ、妹さんのご主人だったしね」
「お市さんのね」
「だからそう言って」
「それでだったね」
「攻めながらもね、というか対立してからも」
 それからもというのです。
「ずっと降る様に言っていたんだ」
「降れば許す」
「そうするって言っていたんだ」
「そうだったのね」
「けれど浅井長政さんは降らずに」
 そうしてというのです。
「戦い続けて」
「そしてなんだ」
「最後は自決して」
「それでこの城も陥ちたんだ」
「そうだったんだ、そしてね」
 それでというのです。
「今はこうしてね」
「もうないんだね」
「陥ちてそうして」
「なくなったのね」
「そうなんだ」
「あの、先生」
 ここでチーチーが先生に尋ねました。
「浅井長政さんって酷いことになったんだよね、死んでから」
「あれね、黄金の髑髏」
 ポリネシアも言います。
「首を髑髏にしてね」
「それで杯にしたんだよね」
 ジップは眉を顰めさせて言いました。
「他の人達と一緒に」
「歴史にはそんなお話もあるけれど」
 トートーも首を傾げさせて言います。
「残酷だよね」
「死んでからもそうするなんてね」
 ホワイティもこう言います。
「とんでもないよね」
「織田信長さんってやっぱり残酷じゃないの?」
「そうよね」
 チープサイドの家族もこう言います。
「それじゃあ」
「そう言うしかないね」
「というか最後まで降れば許すって言ってそれはないよ」
 ガブガブは悲しいお顔で言いました。 
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