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レーヴァティン

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第百七十話 甲斐攻めその十

「その軍政を降らせるとな」
「それが出来ればですね」
「国の主を降らせたのです」
「それならですね」
「その国を降した」
「そう言ってもいいですね」
「まだ降らない奴がいてもだ」
 それでもというのだ。
「それは少数だ、大勢は決する」
「そうなりますね」
「最悪でも甲斐の大半が手に入る」
「そうなるからですね」
「降らせますね」
「そうする、主がいなくてもだ」
 英雄はその場合についても話した。
「敵の主力を破ってだ」
「その軍勢を丸々降らせれば」
「敵の戦力はほぼなくなる」
「もうまともに戦えなくなる」
「だからですね」
「それで、ですね」
「降らせる」
 敵の主、甲斐の大名がおらずともというのだ。英雄はあらゆる場合を考えてそのうえで周りに話した。
「そうする」
「そうですか」
「それではですね」
「この度は」
「敵軍をただ破るだけでなく」
「降らせますか」
「そうすることを目指す」
 こう言ってだった、英雄は兵を甲府城に向かわせていった、そうしつつ。  
 敵のことを見させてその情報を集めていった、すると彼等のことがさらにわかった。
「総大将は甲斐の国主か」
「左様です」
「その姿が確かにあります」
「ご自身が出陣されてです」
「戦うおつもりです」
「その様にお考えです」
「そうか、そして数はだな」
 英雄は今度は敵軍のそれの話をした。
「一万だな」
「左様です」
「約にしろそれだけです」
「一万です」
「それだけの数です」
「一万ならだ」
 令裕はその数からさらに話した。
「甲斐は五十万石だからな」
「出せる兵はおおよそ一万二千強」
「それ位ですね」
「そのうちの一万となると」
「まさに主力ですね」
「どう多く用意しても二万だ」
 信濃で用意出来る兵の数はというのだ。
「だからその一万はな」
「紛れもなく主力ですね」
「左様ですね」
「そしてその一万で、ですね」
「我等と戦う」
「そのつもりですね」
「こちらは十二万だ」
 英雄は今度は自分達の数の話をした。
「圧倒的な差だ」
「はい、装備も上です」
「我等の方が」
「鉄砲だけでなく大砲も多く用意しています」
「彼等が勝てるものではないです」
「間違いなく」
「それで何故出陣して戦う」
 圧倒的な数の相手にというのだ。
「俺は籠城する可能性が高いと思っていたが」
「それが何故か」
「このことを考える必要もありますか」
「そう言われますか」
「そうだ、おそらくだ」
 英雄は周りの者達に話した。 
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