| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十五部第四章 慧眼その四十五

「いいな」
「はい、それでは」
「これからですね」
「カリーですね」
「それを召し上がられますね」
「米のな」
 ナンではなく、というのだ。
「それを食べる、だが今日のカリーはだ」
「連合のものですね」
「連合のカリーですね」
「あちらではカレーライスといいますが」
「それを召し上がられますね」
「そのつもりだ、だがな」
 こうも言ったジャバルだった。
「あちらのカリーも確かに美味いが」
「マウリアのカリーとは本当に違いますね」
「牛肉が入っているものも多く」
「あれはマウリアではありません」
「絶対に」
「私も食べない」
 信仰心の篤いヒンズー教徒でもあるジャバルもだ。
「決してな」
「あれはイギリスからとのことですが」
「マウリアでは絶対にありません」
「ヒンズー教徒は牛肉を食べません」
「神の使いは」
「あれだけ尊い生きものはない」
 ジャバルもこう言う。
「だからな」
「はい、連合のカリーといいましても」
「あのカリーだけはないです」
「ビーフカレーというそうですが」
「あれだけは」
「私も食べないしな」
 また言うジャバルだった。
「あれはない」
「絶対に」
「何があっても」
「連合のカリーは口にしても」
「それでもですね」
「食べるのはハンバーグカリーだが」
 しかしというのだ。
「そのハンバーグもな」
「鶏肉でしょうか」
「それとも豚肉でしょうか」
「羊だ」
 この肉のハンバーグだというのだ。
「それのハンバーグだ」
「あちらですね」
「マウリアのハンバーグでは一般ですね」
「ではそれをカリーに入れて」
「そうして召し上がられますね」
「そうだ」
 その通りだというのだ。
「ハンバーグもな」
「マウリアのハンバーグですね」
「ハンバーグはハンバーグでも」
「牛肉ではないハンバーグ」
「そうなっていますね」
「羊の肉は実にいい」
 ジャバルは微笑んでこうも言った。
「カリーにしてもな、しかし連合ではな」
「羊のハンバーグはですね」
「主流ではないですね」
「連合でも羊の肉はよく食べますが」
「むしろこのマウリア以上に」
 この時代でもマウリアは鶏肉か菜食だ、むしろ菜食主義者が多いのはこの時代も二十世紀も同じことだ。
「そうなっていますが」
「あちらではハンバーグは牛肉が主ですね」
「若しくは豚肉ですね」
「鶏肉もあり様ですが」
「羊はあまりない」
 実際に連合ではというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧