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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その四十三

「だが今ではエウロパは連合から見れば我々以上に遅れている」
「そうですね」
「野蛮とさえ言っている程です」
「エウロパは遅れた国だと」
「そこまで言っていますね」
「そうなっている、だが思えばだ」
 こうも話すジャバルだった。
「産業革命まではだ」
「欧州は遅れていた」
「東洋と比べてでしたね」
「イスラム社会と比べても」
「そうでしたね」
「ローマ帝国もだ」
 この国もというのだ。
「漢と人口は同じ位だったが」
「国力は全く違いましたね」
「十五倍の違いがありました」
「そして技術もでしたね」
「実は漢よりも遅れていましたね」
「そうだった」
 ローマの技術は確かに立派ではあったがだ。
「実はな、そしてだ」
「産業革命まではですね」
「欧州は未開の地でしたね」
「人類社会における辺境だった」
「そうした地域でした」
「アーサー王の頃もだ」
 大体五世紀位だと言われている。
「未開の地だった、西欧はな」
「技術的にも拙いものでしたね、西欧は」
「ローマ帝国の技術も忘れていて」
「それで、でしたね」
「アーサー王にしても」
「国家の技術もシステムも」
「東方と比べるとだ」
 まさにというのだ。
「拙いものだった」
「そうでしたね」
「あの国も」
「ローマ帝国の技術も忘れていて」
 その技術は東ローマ帝国即ちビザンツ帝国が継いでいた。
「西欧は貧しいままで」
「東欧もでしたね」
「イスラムに長い間圧倒され」
「トルコにも脅かされ続けていました」
「イスラムは長い間欧州を大きく離していた」
 文明と野蛮、そこまでの違いがあった。
「ヒジュラからな」
「そうでしたね」
「アラビアンナイトにも書かれています」
「その栄華の程は」
「当時欧州にバグダートの様な街はありませんでした」
 ビザンツ帝国の帝都コンスタンティノープルすら凌いでいた、そこまでの繁栄を誇っていたのである。
「ハールーン=アル=ラシードの頃は特に」
「まさに夢の様な栄華でした」
「当時の欧州はそのイスラム世界と比べると」
「実に未開の国々でした」
「唐と比べても」
「そしてマウリアとも」
「そうだった、欧州はだ」
 大体八世紀かその辺りの彼等はというのだ。
「そうした世界だった」
「未開の蛮地ですね」
「東方から見れば」
「日本も平城京が栄えていました」
 八世紀の日本もだ。
「その東方と比べますと」
「欧州は蛮地でしかなく」
「イスラムの栄華とは比較にならない」
「長い間そうでしたね」
「十字軍にしてもだ」
 彼等も然りというのだ。
「一度は勝ったがな」
「それでもでしたね」
「結局退けられています」
「むしろその戦いで彼等の野蛮さを見せた」
「それだけでしたね」
「ムスリム内の分裂に付け入って攻め込むことは出来た」
 エルサレムを占領出来たというのだ。 
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