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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その三十六

「実際にな」
「その通りですね」
「賄賂は案外安くつきます」
「そして手間もかかりません」
「金銭だのものだのですから」
「それで済みますから」
「異性や同性でもだ、だがどうしても首を縦に振らない者はだ」
 尚連合のある国では了承の場合に首を横に振る国もある。
「難儀だ」
「実にですね」
「そうした者こそ」
「清廉潔白で無欲な者程ですね」
「敵であれば厄介ですね」
「それで無能であればいいが」
 清廉潔白イコール有能かというと決してそうではないのが世の中というものだ、汚職をよくしても有能な政治家も往々にしている。政治家は石部三吉でないと駄目だというのは政治が何もわかっていない輩の言うことだ。
「有能だとな」
「消すには惜しい」
「そうも思ってしまいますね」
「どうしても」
「そうした人物こそ味方に欲しいが」
 しかしというのだ。
「そうともばかり限らない」
「有能な敵ですね」
「しかも清廉潔白な」
「そうした相手は賄賂も意味がない」
「そして絶対に味方にならないなら」
「無能な者は結局放置しても構わない」
 賄賂が通じないならだ、通じれば数合わせにはなる。
「それはな、しかしだ」
「有能ならば」
「余計に厄介ですね」
「有能な敵は最も脅威ですね」
「まさに」
「無能な者はその分野で無能な者だ」
 政治の世界といっても求められる能力は様々だ、大抵の者は何処かの分野についての才能を持っているものだ。
「それが出来る、無能な働き者ならだ」
「その向いている分野に置けばいいですね」
「そうすれば適材適所の下働いてくれる」
「だからこの場合はいいですね」
「ただ無能ならば」
「それはいい、だが敵である有能な者はだ」
 それがあくまで敵になるならだ。
「最後の手段に訴えるしかない」
「それが医者ですね」
「医者を送るしかないですね」
「我々の手段で」
「そうするしかないですね」
「そうだ、そしてその用意はだ」
 まさにというのだ。
「何時でもだ」
「出来る様にしておく」
「そういうことですね」
「マウリア国内においては特にですね」
「我々の邪魔になるのなら」
「そうだ、この場合毒が一番いい」
 彼等の目的を達成させる為にだ。
「我々の古来からの毒がな」
「あの毒は絶対に見付けられません」
「特別な毒ですので」
「ですからあの毒を使うとです」
「傍目には急死にしか見えないです」
「心不全にしか」
 この時代でもよくある死因だ、心臓が突如として止まってしまうということは何時の時代にもあることである。人間が人間の身体である限りは。
「若しくは他の死因に出来ますし」
「あの毒を使っていきますか」
「相手の食事に入れて」
「そうして」
「そうしていくことだ、その時はな」
 必要とあればというのだ。 
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