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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その三十七

「シャイターン主席の様にな」
「サハラのあの英雄ですね」
「梟雄とも言われますね」
「あの御仁も謀略をよく使いますね」
「むしろ副主席以上に」
「そうだ、サハラは戦乱の世界だ」
 このことは近年までだ、戦いが起こっていない日はサハラ全体でなかった日が千年近く続いた程である。
 そうした世界だからとだ、ジャバルも言うのだ。
「だから我々より遥かに余裕がない」
「殺すか殺されるかですね」
「まさにそうした社会ですね」
「だからですね」
「シャイターン主席も暗殺を多用している」
「そうなのですね」
「そうだ」
 こう話すのだった。
「あの主席殿はな」
「そこまでしないと、ということですね」
「サハラの場合は」
「暗殺も多く使わねばならない」
「ことを為す為には」
「剃管に断を下してな」
 そうしてというのだ。
「そうしないとならないのだ」
「過酷な社会ですね、実に」
「あらためて思います」
「サハラはそうした世界だからですね」
「暗殺も多くなるのですね」
「私は最後の手段だと考えているが」
 己の敵に対してだ。
「しかしだ」
「サハラは違う」
「シャイターン主席は」
「あの御仁には余裕がない」
「そして敵を消す」
「邪魔になるのならば」
「そうしているのだ。それの良し悪しは別だ」
 それはまた別の問題だというのだ。
「サハラにはサハラの事情があるのだからな」
「シャイターン主席にはシャイターン主席の事情が」
「それはどうしてもですね」
「あるので」
「一概には言えないですね」
「そういうことだ、だが私とあの御仁は似ているかも知れない」
 そのシャイターンととだ、ジャバルはこうも言った。
「私もまた謀略を厭わないからな」
「だからですか」
「副主席とあの主席殿は似ている」
「そうだというのですね」
「まさに」
「そうも思う、しかし彼の国は劣勢だ」
 今度はシャイターンの国であるティムールの国の話をした、アッディーンの国であるオムダーマンの話もしたのだ。
「国力としてはな」
「倍近い差がありますね」
「ティムールとオムダーマンでは」
「そしてその国力差がですね」
「やはり大きいですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「だからシャイターン主席が勝つにはだ」
「かなりの苦労が必要ですか」
「そうなりますか」
「どうしても」
「そうだ、劣勢を跳ね返す」
 国力のそれをというのだ。
「かなり難しい」
「二倍近いそれをですね」
「それをどう覆すか」
「そう考えますと」
「ティムールの勝利は難しいですか」
「そう思う、国力差を覆すにはだ」
 それにはというのだ。 
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