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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その二十七

「となりますと」
「辺境にか」
「あるのではと思います、そしてその文明の規模は」
「銀河系にあるのならな」
「はい、銀河系の大半を領有している連合と比較しますと」
「小さいな」
「彼等にとっては。ですから融和でも受け入れでもです」
 そのどちらでもというのだ。
「いいのです」
「そうなるか」
「余裕がありますから」
「食料も資源も領土もだな」
「その全てが」
 まさにというのだ。
「ですから」
「あの国はそれでいいです」
「そうなるか」
「はい、しかしです」
「相手が好戦的な文明ならだな」
「連合も戦うしかありません」
 その場合はというのだ。
「彼等も」
「攻められる訳にはいかないからだな」
「連合は自ら攻めることは稀ですが」
 他国にだ、実際にこの国が他国と行った武力による事態の解決はエウロパとの戦いであるエウロパ戦役だけだ。
「しかしです」
「それでもだな」
「攻められるならば」
「戦うしかないか」
「はい、しかも相手が無制限戦争を望むなら」
 その場合はというと。
「最早です」
「連合が望まずともだな」
「応じるしかありません」
 無制限戦争、それにだ。
「結局は」
「そうなるか」
「はい、しかしそうした好戦的な文明は」
「稀だな」
「モンゴル帝国ですらです」
 侵略に次ぐ侵略で空前絶後の大帝国を築いたこの国でもというのだ。
「確かに好戦的でしたら得られるものを得てです」
「ユーラシア大陸の大半をな」
「そこで侵略を止めています」
「そうして統治に入っているな」
「アステカ帝国の様に生贄を必要とする様な文明でもない限り」
「無闇に好戦的でないな」
「はい、生贄についても」
 これもというのだ。
「宗教的、文明的に成熟していけば」
「次第にだな」
「はい、それは形骸化していくものです」
「儀式となるな」
「聖餅の様に」
「ワインとだな」
「キリスト教の」
 それだというのだ、キリスト教の儀式でワインは主の血でありパンは主の身体とされるがこれは生贄の名残だとも言われている。
「それの様になります」
「供物だな」
「ヒンズー教でも数多いですが」
 神々へのそれはだ。
「そうなります、アステカやインカは確かに成熟していました」
「素晴らしい技術を持っていたな」
「はい」
 実にというのだ。
「あの国は、ですからやがてです」
「生贄を求めない様になっていたかも知れないな」
「実際にマヤやアステカの神々への信仰は復活していますが」
 無論インカの神々もだ、一括で中南米神話の神々とされている。
「生贄はもう言葉だけであり」
「供物を捧げているな」
「家畜の肉なり野菜なり果物を」
 茶を飲みつつだ、ジャバルは話した。 
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